EMPiRE、クオリティ高い楽曲にも対応できる実力派グループに WACK所属グループの特性を分析
しかし最初からメンバーは高い能力を持っていたわけでもない。周囲からは恵まれていると思われがちな環境だからこその苦悩もあっただろうし、いきなりメジャーデビューしたからこそ厳しさを実感した部分もあるかと思う。結成間もなくでオープニングアクトとしてBiSHのツアーに同行したが、先輩で経験豊富なBiSHとの実力差は歴然で悔しい思いをしたかもしれない。またオリジナルメンバーのYUiNA EMPiREがBiSに完全移籍したり、YUKA EMPiREが学業専念のために脱退したりと波乱もあった。YUKA EMPiREはインタビューで「心の距離が離れて精神的に孤立してしまった」とも語っていた。
外野からは順調に活動できているように見えていても、ちょっとしたきっかけで活動が止まってしまったり、メンバーの関係性が崩れてしまう状況の時期もあったと思う。MAHO EMPiRE、YU-Ki EMPiRE、MiDORiKO EMPiREが作詞した「Have it my way」では〈お利口ちゃんじゃ終わらないって〉と歌っていた通り、恵まれたエリートグループというイメージへの違和感を感じていたかもしれない。「SUCCESS STORY」では〈破壊なくしては/進歩はないのさ〉と歌っていたが、それもグループの現状を赤裸々に表現し、それでも前に進むためにも踠く様子を歌っていたとも受け取れる。
しかし今のEMPiREは良い雰囲気で前向きに活動している。現在の6人体勢になって1年以上が立ち、メンバーの信頼関係も深まりグループとしてよりまとまってきたと感じる。今では「最初から恵まれていたグループ」という人はいないだろう。実力も努力も現在のポジションにふさわしいぐらいに進化したからだ。
最新EP『SUPER COOL EP』を聴けば音楽的な進化だけでなく、グループがより前向きに活動できていることが実感できる。EP収録曲でMAYU EMPiREが作詞した「SUPER FEELiNG GOOD」では〈はじめるよ Good Time/期待していいよ/居心地いい場所/気づけば夢心地さ〉と歌っている。これは今のEMPiREだから生まれた歌詞で、今のEMPiREだからこそ説得力を持たせて歌える前向きな歌詞だ。だから今のEMPiREの歌を聴くと心が震えるのだ。今はコロナ禍で思うようにグループの活動できない部分があるかもしれない。しかし彼女たちにはきっとアカルイミライが待っているはずだし、これからより多くの人々に音楽を届けてくれるはずだ。それぐらいに惹きつけられる魅力をEMPiREは持っている。
■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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