森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.210
Official髭男dism、Sexy Zone……音楽的情報量に富んだアレンジが施された作品 新譜5作よりピックアップ
昨年12月にリリースされた2ndアルバム『the GREAT JOURNEY ALBUM』によって、新体制(2019年4月)以降の活動を総括したEMPiRE。新作EP『SUPER COOL EP』は、彼女たちの次なるアクションを予見させる作品だ。まず印象的なのは1曲目の「This is EMPiRE SOUNDS」。90年代的なロックとダンスミュージックの融合がもたらすイメージは、巨大フェスやアリーナでのライブ。壮大なメロディが響くEDM系トラック「SUPER FEELiNG GOOD」、“もう泣かない”という思いを空高く放つミディアムチューン「I don’t cry anymore」なども、これまで以上のスケール感がある。この作品を契機にして6人は、まったく先が見えない現状にぶつかりながら、さらに大きなフィールドを視野に入れた活動に突き進みそうだ。
2020年9月6日に予定されている日本青年館ホール公演をもって解散することを発表したsora tob sakanaのラストアルバム『deep blue』。ポリリズムを交えたリズム構成、フォークロア的な雰囲気の旋律、現代詩のようなリリックが溶け合う「信号」、抽象派的なピアノの響き、静寂を感じさせるメロディ、メンバー3人の声が重なっては離れる構成による「untie」という新曲のほか、既存の楽曲を再レコーディングして収録。ポストロック、エレクトロニカ、現代音楽などを交えた音楽性、純度の高いピュアな声質と巧みなコーラスワークなど、このユニットの独創的なスタイルを改めて実感できる作品に仕上がっている。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。