新しい地図は『ななにー』で表現し続ける ゲストらとのトークを通して浮かび上がった、未来へ繋がるヒント

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が毎月第1日曜日の15時から生放送している『7.2 新しい別の窓』(ABEMA、以下『ななにー』)#29が、8月2日に放送された。

 新型コロナウイルス感染拡大予防のため、フェイスシールドを手に登場した3人。さらに距離を取りながらのオープニングトークになると、香取は真横に伸びる観葉植物を気にして「ここの枝、近くないですか? これがもう当たってるんですよ。あと5センチずつそっち行ってもらってもいい?」と訴える。しかし、「立ち位置決まってるから」(稲垣)、「バミリがあったからさ。ちゃんと1メートル!」(草なぎ)と、2人は頑として動かずに笑いを誘う。

 感染拡大防止を念頭に入れた新しい生活。その変化を受け入れながらも、何気ないやりとりを楽しむゆとりは忘れない。そんな彼らを見ていると、長い梅雨は明けたものの、手探りの続く2020年の夏を、できる限り楽しもうという元気が湧いてくる。今までどおりとはいかないかもしれないけれど、そのなかでも笑顔になれることがきっとある。それを一緒に見つけていこう、そんなふうに手を差し伸べてくれるような7.2時間だった。

「あのころ」から見えてくる「これから」へのヒント

 中山秀征をゲストに迎えた72分間の『ホンネトーク』では、懐かしのテレビ業界を振り返る。芸歴で言えば、かなり近い世代の中山と3人。だが、デビュー当時小学生だった香取を筆頭にまだ未成年だった彼らと中山が見てきた芸能界は大きく異なるようだ。「ジュルスケ(スケジュール)」をはじめとした業界用語、『スターどっきり(秘)報告』や『芸能人水泳大会』などの懐かしの番組の舞台裏、さらに西麻布、六本木などで語り継がれる大御所芸能人の伝説……と、次々にすべらない話を披露してくれる中山。

 その話から浮かび上がってきたのが、3人を含めたSMAPがテレビにおける新しい時代の境目で活躍してきたことだ。『スターどっきり』で明らかにカメラがあるとわかっていても、気づかないフリをするのがお約束だった時代。彼らはすぐに「何だよこれー!」と暴いてしまったそうだ。さらに、対決モノに関しては旬のタレントが勝つのがお約束だったそうだが、SMAP以降はガチで勝負。負けるのも「リアルで面白い」と、番組の見せ方が変わっていったという。さらに、仕事が終わると「とりあえず家に帰っていた」と、芸能人らしい豪快な遊びとは無縁の日々を過ごしていたと明かす。

 なかでも『スターどっきり』を暴いたことでスタッフに怒られながらも、番組内で暴いた大賞なるものを受賞したという香取。良いのか悪いのかわからなかったと笑うが、その「何が正解かわからない」ことこそが、新しい扉を開けている手応えなのだろう。お約束の展開から、何が起こるか予測できない予定不調和を楽しむ時代へ。いつの時代も新しい時代は、「わからない」を楽しんだ者勝ちだ。昔話を懐かしむと、そんな普遍的なものに改めて気づかされる。

「距離を取りながら近づこう」

 中山との『ホンネトーク』後は、キャイ~ン、みちょぱ(池田美優)、EXITを迎えてのボウリング対決。ソーシャルディスタンスを確保しながらも、いろいろと遊べることを教えてくれる。ハイスコアを狙った王道の遊びに加えて、どれだけゆっくりと投げられるかを競い合ったり、1人ずつ順番に投げ、徐々に倒すピン数を増やしていくゲームなど、工夫がいっぱいだ。

 もちろん、盛り上がってもハイタッチやハグはない。「お久しぶり企画」のゲストとして登場した渡辺直美が、忘れられない思い出として挙げた香取との両手での固い握手も、今は難しい。そんな共演者とのスキンシップを大切にしている香取にとって、今の距離感はすごくもどかしい日々だという。いくらリモートで繋がっていても、直接同じ空間にいるのとは全然違うように。たくさんの言葉よりも、触れることで伝わるものがあるのだ。

 ボウリング対決を終え、集合写真を撮るときに聞こえた「距離を取りながら近づこう」という掛け声に、2020年の夏っぽさを感じずにはいられない。「誰かを守りながら楽しもう」、誰もが他の誰かを常に気にかけながら生活ができたらーーそれは不自由というより、今までよりも少し優しい世界になるのではないだろうか。

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