山下智久、新曲「Nights Cold」で“世界の山P”へ 日本語を織り交ぜた歌詞と潔い引き算による楽曲を考察

 「僕にしか歌えない歌にしたい」ーー7月15日発売のニューシングル曲「Nights Cold」を音楽番組で披露する際に山下智久はこう語った。

 同曲は山下が出演するHuluオリジナルドラマ『THE HEAD』のエンディングテーマに起用されており、山下が作詞を手掛けた。世界30の国と地域で配信されている作品だけに、“世界の山P”との呼び声も聞こえてきた。

 7月13日放送の『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に出演した際に、山下は「どこに行っても自分は日本人なので」と、日本語を織り交ぜた歌詞について言及。「サビって一番感情をのせる所」と、歌い手としての観点を織り交ぜながら、「僕にしか歌えない歌にしたい」と語った。

山下智久 『Nights Cold』

 序盤、ピアノの繊細さを保ちながらも強弱をつけた旋律と共に、静かにゆっくりとしたテンポで進行する。そこへ山下が優しさと強さを感じる歌声が重なっていく。広い空間を思わせる奥行きのある音、時折聞こえてくる効果音が闇を照らす幽かな光を思わせる。歌詞を丁寧に歌いこみ、Bメロからは叫びのような切なさを感じる。サビ前のわずかな間を経て、歌詞は日本語へとチェンジする。

 後半に向かうにつれてテンポを上げたことで、切なさや葛藤の中にも前向きさが出ていた。間奏で聞こえるチェロの波打つ低い音色は、先の見えない中であっても己を奮い立たせる意志を感じた。

 プロデューサーからは「悲しくて、冷たくて、怖いような曲」とオーダーされたという(参照:『TV LIFE』7月24日号)。全体的なトーンにミステリアスがありつつも、最後は小さな光に希望を見出す、歌詞の〈闇の中光を探して〉を表現していた。

 全編を英語で綴ることもできた中での日本語、それもサビにもってきたところは、山下の言葉通り、彼のアイデンティティ、コアの表れだろう。ピアノと弦楽器をメインにしたシンプルなサウンドは新鮮で、潔い引き算は山下らしい楽曲と言える。

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