名古屋インディーズレーベル<TRUST RECORDS>綿谷剛氏が語る、バンドとの良好な関係性 ライブハウス支援への思いも

名古屋インディーズレーベル<TRUST RECORDS>綿谷剛氏が語る、バンドとの良好な関係性 ライブハウス支援への思いも

 バンドシーンを引っ張り、ライブハウスの“今”を担う気鋭のレーベルを取材する連載「次世代レーベルマップ」。第3回は、ライブハウス支援プロジェクト「For Our Live Houses」を発足した名古屋の名門レーベル<TRUST RECORDS>の綿谷剛氏を迎えた。「For Our Live Houses」は、レーベルコンピレーションアルバムや、東海地区のアーティストを収録したコンピレーションアルバムを各ライブハウスへ無償提供し、その売り上げを運営費に充ててもらうというものだ。レーベルを率いる綿谷氏にメールインタビューを行い、今回のライブハウス支援プロジェクトへの思いからレーベル設立の経緯までを聞いた。(編集部)

この暗い期間を楽しく乗り越える

 名古屋で5店舗のライブハウスを経営する<TRUST RECORDS>。支援企画「For Our Live Houses」始動の経緯について、「弊社も漏れなくライブ営業やイベントの自粛を余儀なくされて、もう何年ぶりか分からないくらいポカンと時間が出来て、立ち止まって色んなことを見つめ直すことが出来たんです。ライブハウスの大変さも、レーベルマネジメントとしての大変さもどちらも痛感して、会社的にもこの先どうしていくか? いくら考えても正直答えも出せない、動くにも動けない先が見えない状況だったので、それなら今出来る楽しいことを考えよう、と振り切って始めた企画です」と語る。打ち出し方として便宜上“ライブハウス支援”と謳っているが、根底にはあくまで自分が惚れ込んだ才能を世に広げたいという思いがあるそう。ライブハウスや音楽ファンから地元のライブハウスやアーティストのために出来ることがないかという声を聞き、「それなら僕らが自信を持ってお薦めするアーティストが多数収録されたコンピレーションアルバムの売り上げが各地のライブハウスの支援になります、という形でみんなが少しでもハッピーになったら、この暗い期間を楽しく乗り越えられるんじゃないかな?」というシンプルな動機でスタートしたという。

 実際に始動すると、特にレーベルコンピレーションアルバムにはかなりの反響があった。「5、6年ぶりに制作したコンピだったので、楽しみにしていただいていたお客様も多く、各地のライブハウスの方々からも売れ行きが良いと喜んで頂けましたし、初回プレスも早々に在庫薄になりました。我々としても参加してくれたアーティストに少しでも新しい出会いのきっかけを恩返し出来たかなという手応えも得れたので本当にやってよかったと思います」。

 今回の支援企画では、レーベルコンピに加え、地元東海地方のアーティストの楽曲を収録した『V.A TRUST YOUR SOULS “NAGOYA” -For Our Live Houses-』も発売。現在の名古屋バンドシーンについては「年代や音楽性含めて幅広いなと思います」と明かす。「僕たちが名古屋でライブハウスを始めた頃は、東京や大阪に若くて勢いがあるバンドが多かった印象で、例えば東京、大阪のイケイケなバンド達がツアーで名古屋に来るとBACK LIFTや04 Limited Sazabys、THREE LIGHTS DOWN KINGS、ENTH、EVERLONGが毎月何回出るんだ、ってくらいライブに出てもらったり、企画を組んでくれた」と振り返りながら、「今は、僕の知らない若いバンドでも音源を聴いたりMVを観たりするとすごく才能を感じますし、ヒステリックパニックやビレッジマンズストア等、名古屋のシーンを牽引していくバンドもいてくれて心強いですよね」と語った。

 さらに、公募した楽曲を収録するコンピレーションアルバム『新人さんいらっしゃい』も制作。新人を見るときのポイントについては「強いて言うならビビビッと来るアーティストに出会いたいですね」と教えてくれた。今回の企画はすでに参加アーティストが決定。「今回かなりのエントリーをいただいたのですが、どのアーティストも個性や才能を感じて、選出にはかなり悩みました。初めて見るバンド名も多かったので、出会いや発見が多く良い企画になったと思います」と振り返った。

BACK LIFTら“卒業”したバンドとも良好な関係性を築ける理由

 レーベル立ち上げの経緯を尋ねると、中学生の頃、L’Arc-en-CielやGLAYに出会ってロックに目覚め、楽器を始めたという綿谷氏。その後、高校時代は友達の家でセッションしたり、地元の小さなライブハウスで仲間内でライブをするなど、バンド活動に明け暮れていたという。高校卒業時に「バンドで一旗揚げたい」と思い名古屋に引っ越し、楽器屋の「メンバー募集」でバンドメンバーを探してバンドを組んだ。「そのバンドではブッキング窓口をやっていたので、自身のバンドの自主企画を組むために常にライブハウスへ遊びに行ってバンド仲間を増やしたり、チラシを撒いたり、打ち上げに参加したり……そんな毎日を続けていく中で、普通のアルバイトに割く時間すらバンド活動のプラスに変える時間にしたいと思い、初めてライブをしたライブハウスでアルバイトをさせてもらうことになりました」。

 その後、バンド仲間が増えて当初目標としていたバンドの自主企画はコンスタントに行うことが出来たものの、当時のバンドメンバーとの音楽性の違いから「本当に自分の好きなバンド・カッコいいと思うバンドを集めたイベントを組みたい」と思い、個人イベント『TRUST YOUR SOULS』を始めたと語る。「個人イベントを続けていく内に仲間内でコンピレーションアルバムを作りたいと思って、右も左も何も分からないまま立ち上げたのが<TRUST RECORDS>です」。

 レーベルを始めた当初は所属バンドに同世代が多く、想いが強すぎるあまりに喧嘩になることもあったと振り返る。「レーベルとバンド、という関係よりはメンバーのつもりで活動スタンスや楽曲制作などに口出ししてしまうことも多く、BACK LIFTとは喧嘩も多かったです(笑)」。しかし現在では、BACK LIFTをはじめレーベルを卒業したアーティストとの円満な交流が続く。そのきっかけはなんだったのだろうか。「ある時、メンバーのやりたいことを尊重した上で、それならこんなのはどう? とかこんなのもあるよ、とか色んなアイデアを提案してその中からチームで最終判断をするという方針に変わって。それに気付くまでに時間は掛かりましたが、そこからは良い関係値で色んなバンドと接することが出来るようになった気がします」。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる