宮野真守のライブは誰もが“ファミリーの一員”に 多彩な演出と表現から生まれる一体感
決して一人にさせないファミリー感
宮野のライブを初めて見た人が驚くことの1つに、彼のダンススキルの高さがある。例えば『EXCITING!』の1曲目「EXCITING!」など、ダンサーとの息の合ったダンスは実に見応えがある。歌が上手い声優は数多くいるが、ここまで踊れる声優はほかに見たことがない。182センチの長身から繰り出されるダンスは迫力満点で、圧倒されること間違いないだろう。「SHOUT! (Dirty Orange REMIX)」では繋がれた鎖を引きちぎるシーンもあり、身体1つでも楽曲の世界観を表現してしまうスキルはさすが。ジャケットがはだけるセクシーさを取り入れた振り付けもあり、魅力に溢れたダンスは女性ファンならずとも必見だ。
そんな演出もベースに宮野真守の歌声があればこそ。ダンスチューンからロック、バラードなど多彩な歌声は、ライブでこそ魅力が倍増する。『EXCITING!』では、アーティストデビュー10周年記念の意味もあって人気ナンバーが次々と歌われている。「BREAK IT!」や「オルフェ」はロックチューンの定番で、観客はペンライトを振りながら「オイ! オイ!」と声をあげ、さながらロックフェスの様相。バンドメンバーと背中合わせになってシャウトする宮野の姿は、格好いいの一言だ。R&Bを歌えばフェイクも聴かせ、一瞬でシーンを切り替えてしまうほどの表現力も持っている。
溢れんばかりのエネルギーで圧倒するだけでなく、一転しっとりとしたバラードで包み込んでくれるのも魅力。「そっと溶けてゆくように」は、情感がたっぷり込められた歌声が胸を打った。また、隣に寄り添ってくれるような親しみが感じられる「THANK YOU」は、ファンへの感謝の気持ちが込められたナンバー。手を振りながら客席に向けられた彼の笑顔は、まるで家族や親友、恋人のような優しさで溢れている。
そして、宮野真守のライブにおいて、もっとも大切にされるのがファミリー感だろう。バンドとダンサーはもはや兄弟のようで、冒頭のステージ裏でのやりとりを始め、メンバー紹介など、見ている側もなんだか同じチームの一員になった気持ちにさせてくれる。まるで“君はひとりじゃないんだよ”と手を差し伸べてくれているようで、これに救われたファンもきっと多いだろう。一緒に振り付けを踊り、声を出すうちに、気づけば誰もが宮野ファミリーの一員だ。
なお、5月16日21時からは第2弾として、『MAMORU MIYANO LIVE TOUR 2017 ~LOVING!~』ダイジェスト版が配信される(5月24日23時59分までの限定公開)。おうち時間でも決して孤独を感じさせない、包み込むような温かさと楽しさを宮野のライブで体感して欲しい。
■榑林 史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も。