緑黄色社会、アルバム『SINGALONG』収録曲から放たれるエネルギー 繰り返し聴きたくなる強みを分析

 ストレートな8ビートとシンプルな譜割りが特徴のポップチューン「Shout Baby」での伸びやかなロングトーン。ホーンセクションを取り入れたゴージャスなアレンジが楽しい「Mela!」では、滑舌の良さで楽曲の跳ねるようなリズムに華を添えている。後半、中低音で一瞬倍音になるところも、たまらない。「Brand New World」は、ギターの音色やリズムのアプローチ、さらにケルティックな匂いがするアレンジに“ちょっとU2みたい(ニヤリ)”と思わせる1曲だが、Aメロの母音のニュアンスや、ファルセットの使い方に表現力を感じる。ブラックミュージックやAORのムードが漂うミディアムバラード「一歩」で聴かせるのは、音域の広さとピッチの安定感。と、安心して聴いていたら、後半、発声を変えてちょっと違う声質で聴かせてみたりと、ボーカリストとしての挑戦も見せている。

緑黄色社会 『Shout Baby』Music Video(TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』4期「文化祭編」EDテーマ / MY HERO ACADEMIA ENDING)
緑黄色社会 『Mela!』Music Video / Ryokuoushoku Shakai – Mela!
「Brand New World」
「一歩」

 アコギ1本と歌から始まるバラード「冬の朝」では、マジョリティを秘めた声質の本領発揮。丁寧に紡ぐ中高音から高音の心地良さ(ファルセット含む)が素晴らしい。声量を上げながらも、声を張る一歩手前の状態でスッと引くようなテクニックで、この曲の繊細さや優しさ、力強さを表現している。個人的には、アップチューンのバンドアンサンブルに音楽の楽しさを見出しがちなのだが、このバラードは繰り返し聴いてしまった。長屋の歌声がそうさせたのだろう。シンプルに聴いていて心地良い、気持ちがジワッと上向きになる歌声だった。

「冬の朝」

 この“繰り返し聴こうと思わせる”ところが、緑黄色社会の強さだ。曲のバリエーション、それを表現出来るスキルなど、個々の匠技も、飽きさせない理由のひとつではあると思うが、それ以上に、楽曲そのものから放たれるエネルギーに引っ張られてしまった……というのが正直なところである。

 言うなれば、アルバム『SINGALONG』は、緑黄色社会というエネルギーそのもの、である。

■伊藤亜希
ライター。編集。アーティストサイトの企画・制作。喜んだり、落ち込んだり、切なくなったり、お酒を飲んだりしてると、勝手に脳内BGMが流れ出す幸せな日々。旦那と小さなイタリアンバル(新中野駅から徒歩2分)始めました。
Piccolo 266 インスタグラム

■リリース情報
アルバム『SINGALONG』
2020年4月22日 (水)配信/DL発売
※CDリリースは延期
特設サイト
iTuensプリオーダー(3月29日0時~)
【初回生産限定盤】 [CD+Blu-ray]
¥4,091+税
リョクシャカ詰め合わせBOX仕様
<CD収録曲>
01. SINGALONG
02. sabotage
03. Mela!
04. 想い人
05. inori
06. Shout Baby
07. スカーレット
08. 一歩
09. 愛のかたち
10. 幸せ
11. Brand New World
12. あのころ見た光
13. 冬の朝

<Blu-ray収録内容>
「奏でた音の行方 vol.2 - 2019.11.10 -」
またね
逆転
sabotage
Alice
真夜中ドライブ
想い人
「Music Video」
あのころ見た光
幸せ
想い人
sabotage
Shout Baby

[付属物]
収録曲歌詞グラフィックカード
メンバーによる楽曲解説インタビュー付Photobook

【通常盤】 [CD]
¥3,000+税
<CD収録曲>
01. SINGALONG
02. sabotage
03. Mela!
04. 想い人
05. inori
06. Shout Baby
07. スカーレット
08. 一歩
09. 愛のかたち
10. 幸せ
11. Brand New World
12. あのころ見た光
13. 冬の朝

[付属物] *初回仕様のみ
小林壱誓画伯によるメンバーイラストステッカー

■関連リンク
緑黄色社会 オフィシャルホームページ
緑黄色社会 公式Twitterアカウント
緑黄色社会 公式Instagramアカウント
緑黄色社会 公式LINEアカウント:@ryokushaka

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