欅坂46、濃密な4年間で見えてきた“らしさ” 「サイマジョ」の衝撃デビューから現在までの軌跡

センターの不在が続いた3年目

 2018年3月、6thシングル『ガラスを割れ』を発表。センター不在の中で開催されたデビュー2周年記念公演は、他のメンバーが代理センターを務める演出・構成となった。例えば「世界には愛しかない」は守屋茜が、「不協和音」は菅井友香がセンターに立つことで乗り切り、グループの窮地を救った。このように3年目の活動は、センターがいたり、いなかったりという状況が続く。

 8月に7thシングル『アンビバレント』を発表。同時期に今泉の卒業が発表される。3年目にして初めて経験した一期生の卒業。その中で『坂道合同オーディション』が開催され、11月に二期生として9名が加入することが決まる。デビュー以降同じメンバーで活動してきた欅坂46も、“メンバーが入れ替わる”フェーズへと入った。

 7月頃からグループ活動に徐々に加わっていた平手は夏のツアー最終日にステージから落下し、軽い打撲と診断されるが、改めて12月に腰部打撲・左仙腸関節捻挫による仙腸関節不安定症、および両手関節捻挫による遠位橈尺関節痛と診断され、活動の一部休止を発表した(参照)。3度目となる『NHK紅白歌合戦』は代わりに小林由依がセンターに立った。

 年が明けて2019年2月、8thシングル『黒い羊』を発表。

中心メンバーが去り、新メンバーが成長・加入した4年目

 デビュー3周年記念公演は大阪・東京の2会場に分けての開催となった。その間には二期生による『おもてなし会』も開かれ、夏は恒例の『欅共和国』と全国ツアーを開催。さらにツアーの追加公演として東京ドームにも挑んだ。

 4年目は新曲をリリースしなかった分、既発曲のパフォーマンスの精度が高まった。特に『ミュージックステーション ウルトラ SUPER LIVE 2019』(テレビ朝日系)で無観客の幕張メッセを舞台に見せた「黒い羊」は、欅坂46の”第一章”におけるテレビパフォーマンスのひとつの極地と言えるだろう。2年前にメンバーが倒れた『NHK紅白歌合戦』では「不協和音」に再トライ。ある意味、これまでの総決算のような年末となった。

 一方で、夏には長濱ねるが卒業し、年明け直後には平手の脱退も発表された。新メンバーの加入と引き換えに、人気を牽引していた2人が離れたことでグループの行く末が不安視される。

 そんな中で迎えた5年目。デビュー記念日の6日にYouTubeにて配信された「デビュー4周年記念生配信」ではキャプテンの菅井が、これまでの活動を振り返りつつ「いまはワクワクしている」「パワーが溜まってる状態」とファンへ向けて前向きなメッセージを送った。

 失ったものは大きいが、伸びている芽は希望だ。この濃密な4年間で見えてきたグループのらしさを武器に、これからも彼女たちは成長していくだろう。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

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