連載「Signal to Real Noise」第七回:TAWINGS
海外公演も成功、気鋭の3ピースバンド TAWINGSインタビュー 「常に作りたいものを作ること自体が目標」
3人に聞く、「TAWINGSらしさ」とは?
ーーバンドのカラーやスタイルがビシッと決まっていると、いろんな曲が出てきても、これはバンドに合わないとかってボツになるんでしょうけど、TAWINGSはそうじゃなかったってことですね。できてきた曲を全部バンドにぶち込んでみたらこんなふうになりました、というような。
Cony:もともと友達として仲がいいので、一緒に盛り上がってその場その場で「これもいいかも!」とか言いながらやって、そのままリリースしちゃうみたいなことは結構あります。
ーー友達の家に行って一緒にレコードを聴いて盛り上がっている感じを、そのままバンドでやっているみたいな。
Cony:まさにそんな感じです。でも、ライブでセットリストを組む時に収拾がつかなくなったりするんですけど(笑)。
ーーTAWINGSとしての個性やスタイルは固まってきましたか?
Cony:多分客観的に見たら固まっているんだろうなっていうのは、なんとなく思うんですけど、正直自分の中では常にぐしゃぐしゃしています。
Yurika:全然手探り中って感じですね。
ーーまだ、変わり続けている感じがある?
Yurika:はい。特にドラムに関しては、固まってない感はまだまだあります。
Cony:でも、常にディレイが好きというのはありますね。歌もギターも、とりあえず「ディレイかけたら?」って言ってみたりして(笑)。
eliy:ディレイ好きだよね(笑)
Cony:そうそう。
Yurika:しまいにはスネアにもかけたり(笑)?
Cony:うんうん、それってダブじゃん(笑)。たしかに、最近は「私たちがやりたかったのってダブなのかな」って言い始めたりしているよね。
ーーやりたいことが次々と出てくる。
Cony:はい、そうですね。もうずっとやりたいことがあり続けています。本当に毎日違っているので。
eliy:あるよね、それ。今これを弾いていて楽しいって曲もあるし、明日には違う曲になってるかもっていう。
Yurika:アルバムに入れた曲で、ライブのアレンジをガラッと変えた曲(「Hamburg」)は、みんなびっくりしていたよね。
Cony:元の音源はすぐに飽きちゃって、ライブで全然違うアレンジでやっていて。もう歌詞も変えてやっちゃおうとか、すぐにそういうふうになっちゃう。
ーー逆に聴く側に「次は何やってくれるんだろう」みたいな期待感が湧いてくる。
eliy:でも、ほかのバンドの友だちに、アルバムと全く違うことをライブでするって言ったら「信じられない」って言われましたね(笑)
Cony:「全然違う曲じゃん!? どうしたの?」って感じで言われて。
eliy:「そんなことするのありなんだ!」みたいな。だからそういうことするのは、自分たちだけなのかもって思ったりもします。
Cony:もっともっといい曲にできるって思って、やりたくなっちゃう。
eliy:アップデートみたいな感じなんですかね。
ーーじゃあ一旦作って完成したと思っても、もっとよくなる可能性があればどんどん変えていっちゃう。
Cony:はい、聴いていてやっぱ違うなぁとか思えば変えます。ライブがあれば、新しいバージョンはそこで披露しようって。どう変えるかは常に共有しているし。
eliy:(音を)送ったりとかして。
ーーアルバムを聴かせてもらって、いろんなインタビューも読んだんですが、曲調がバラバラだみたいなことをメンバーの皆さんはおっしゃってるんだけど、全然気にならなくて。逆にすごく統一感があるなって思ったんです。その統一感はサウンドスタイルではなくて、どちらかというと皆さんのフィーリングが一貫してるから、多少曲調に振り幅があってもそれが一定のイメージの中に収まってる感じがありますね。
Yurika:なるほど。
Cony:それを言ってもらえるのは嬉しいですし、まさにそうだと思います。
ーーそんな中で、TAWINGSらしさみたいなものを定義するなら、なんだと思いますか?
Cony:うーん……「根暗の野望」って感じです(笑)。
ーー(笑)根暗なんですか?
Cony:根暗です。
ーー家にいる時はずっと引きこもってる、みたいな感じ?
Cony:そうです。みんな多分内弁慶だと思います。
eliy:でも音楽好きな人って、私たちみたいな性格の人が多いんじゃないかなってなんとなく思いますね。