A応P、ラップナンバー「せっけんWOW!」で幅広い世代へと伝える“手洗い・うがい”の重要性

A応Pが伝える“手洗い”の重要性

A応Pとしての自信とメンバーとしての自信

ーーここまでみなさんは謙遜してますけど「せっけんWOW!」はちゃんと8MCのヒップホップクルーっぽい音源に仕上がってますよね。しかも脚韻はもちろん、頭韻も踏むし、なんなら単語の真ん中でも韻を踏みまくるかなりテクニカルなリリックなのに。

巴:なんでできたんだろう?(笑) でもオタクだから世界に入り込めるのかな、という感じはしていて。どんなジャンルのアニメであっても、気付いたら観ているうちに物語の世界に入っちゃっているような感覚があって。メンバーの中にはそういう子が多い気がするので、たぶんみんなアニメを観ているときと同じような感覚で曲の世界に入り込めてるんだろうな、という気はします。

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ーー韻を踏みまくるガチなヒップホップを与えられれば、その世界に没入して自ずとフィメールラッパー的な振る舞いができる?

巴:自分的にはまだまだ技術が追いついてない感じがするのが残念なんですけど(笑)、曲の持つ世界には応えようとしているし、だからちゃんとラップしているように聴いていただけるのかもしれないですね。

ーーただ、みなさんが入り込まなきゃいけない「せっけんWOW!」で歌われていることは? というと、先ほどのとおり、手洗い・うがいの大切さと石鹸の使い方。うら若き乙女はこの詞の世界にいかに自己投影するんでしょう?

工藤:歌のお姉さんみたいな気持ちか、入学したての小学1年生に洗面台の使い方を教えている高学年みたいな気持ちで歌っていました。

春咲:私もそれに近い感覚でした。『きんだーてれび』を観ている小さい子たちはラップに馴染みがないかもしれないけど、こういう曲調って絶対に耳に残ると思うんです。だからこの曲をきっかけに手洗い・うがいが好きじゃない子が好きになってくれるかもしれない、っていう期待を込めて歌っていました。

旭:うん。A応Pに入る前、子どもと触れあうアルバイトの経験がすごく多かったので、当時のことをイメージしていました。

ーーその一方で、みなさんはA応Pファンにも楽しく聴いてもらえる曲に仕上げなきゃいけないわけですよね。

小嶋:でもそこに悩むことはあんまりなくて。「せっけんWOW!」もそうだし、ほかのタイアップ曲もそうなんですけど、作詞家の方と作曲の方がすでにアニメやゲームやテレビ番組の主題歌として曲を作ってくれているので、私たちはそこにA応Pの世界観を付け足す感じ、A応Pらしく歌えば、アニメやテレビ番組のテーマソングとしても、A応Pの曲としてもちゃんと成立するんだと思っています。

ーーそのメソッドってどうやって確立しました? 特に巴さん以外のみなさんは2018年にA応Pに加入している。わずか2年で「A応Pならではのタイアップ曲の歌い方」を獲得しました?

巴:いやあ、ほかのメンバーどころか、私自身も自信はまるでなくて……。ライブの前に円陣を組むんですけど、そのときの合言葉は「私たちにないのは自信だけだ!」ですから(笑)。

ーーでも新体制になって間もない2018年の渋谷CLUB QUATTROワンマン(参考:新体制のA応P、満員の渋谷クアトロでアピールした“本物のA応P”像)のときから、ちゃんとガールズユニットしてましたよ。

春咲:そう言っていただけるとうれしいんですけど、基本的には自信はないですね。「いいよ」って言っていただいても「それは買いかぶりすぎですよ」って気持ちが根強く残っていて……。

巴:これがグループ全員の悩みなんですよね。

旭:グループとしての自信はついている気はしますけどね。そのCLUB QUATTROワンマンのときも福緒(唯)さんが卒業してしまう不安と、私たち新メンバーが正規メンバーに昇格したばかりという緊張感もあったんですけど、一応ちゃんとパフォーマンスできた気はするし、その後の3rdツアー(2018〜2019年の『A応P 3rd LIVE TOUR 2018-2019 ANIMETIC PLAYLIST えーおうぴーの こうげき!』)と4thツアーでものすごい公演数を回ってA応Pとしての団結力は深まったし、A応Pとしての自信は付いた気がします。

ーー他方、旭優奈としての自信は?

旭:ないですっ!

ーー胸を張らないでください!(笑)

星希:でも自分自身の自信はないけど、お互いに対する信頼感があるっていうのは大きな財産だと思っていて。自分にはできなくてもほかのメンバーがどうにかしてくれるっていう信頼感はヤケに大きいし(笑)、だからこそのA応Pとしての自信みたいなものはあるし、だからラップという新しいことにも挑めたんだと思います。

ーーそしてそのラップ曲を聴いたみなさんは手洗い・うがいを……。

巴:欠かさないでください(笑)。

ーー一方、シングル表題曲の「FREEDOMでムダに無敵!!」なんですけど、こちらもラップではないものの、速射砲のように畳みかけるメロディに乗せて、〈あえいうえおあお〉〈かけきくけこかこ〉と派手に言葉で遊んでいるし、〈とうきょうとっきょきょかきょく!!〉であったり早口言葉までリリックの中に放り込まれている。

【MV】A応P「FREEDOMでムダに無敵!!」FULL Ver. (テレビアニメ『ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。』エンディングテーマ)

巴:さっきもお話ししたとおり、A応Pはセリフ調の曲が多いので得意なつもりだったんですけど、まさかこんなに早口言葉が入ってくるとは思わなかったので、そこはみんなけっこう苦戦していた印象があります。

工藤:こういう曲調は得意なつもりで楽しく歌えたんですけど、どうしても早口言葉がダメで……。音程に合わせつつ、セリフをそのまま言うことのバランスがすごく難しかったです。あっ、でも〈FREEDOMでムダに無敵!!〉だけすごくホメられました(笑)。

春咲:私は工藤と逆で〈FREEDOMでムダに無敵!!〉が全然歌えなくて。たぶん10回歌って、1回ちゃんと歌えたかどうかっていうレベルで……。

ーー曲のタイトルであり、サビを抜けるときのキメゼリフなのに。

春咲:だからもはやタイトルを変えてもらうか、私がA応Pを辞めるしかないって思っていただけに、最終的にはどうにか歌えるようになってよかったです(笑)。

星希:私は声優をやっているので、レコーディング中、早口言葉に関しては「おっ、言えてる言えてる」って感じだったんですけど、なぜかそのパートは全然使われなくて(笑)。反対に〈世の中ね 顔かお金なのよ!!〉というパートが採用されてビックリしました。(声のトーンを上げて)「わたしぃ、かわいくないからぁ」みたいなぶりっ子的な意味じゃなくて、ホントに顔に自信のあるタイプじゃないから、歌割りが決まったときは「どうしよう……」って寝れないくらい悩みました(笑)。

旭:私も〈ぎたーそろ ごー!!〉を割り振られたのにビックリした!

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ーーあのキメゼリフすごくかわいかったですよ。

旭:でもA応Pを2パート、4人と4人にわけて歌うときってたいて広瀬(ゆうき)さんと春咲と小嶋と組むことが多くて……。

春咲:低音組だよね。

旭:なのに今回の曲では巴さんと工藤と堤(雪菜)というかわいい“お声”の持ち主3人と同じパートを割り振られて……。

春咲:「お声」って(笑)。

巴:ありがとう(笑)。

旭:しかも〈ぎたーそろ ごー!!〉っていう一番かわいいフレーズを割り振られたので「私なのっ!?」ってなりました(笑)。

巴:ディレクターさんがドSなので「ここ歌いたいなー」とか「これは私のパートだろうなあ」と思ってると、そこの担当からは外されるんです(笑)。

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