Matt Cab×鈴木佑氏インタビュー
Matt Cab、グラミー会場やコンテスト優勝で受けた刺激 愛用ヘッドホンの作り手と“音”へのこだわりも語る
サンフランシスコ出身、日本在住のシンガーソングライター/音楽プロデューサーであるMatt Cab(マット・キャブ)が、アメリカにあるクラウド型楽曲制作プラットフォームを提供するSplice主催のリミックスコンテストにて優勝を獲得した。本コンテストではアリシア・キーズの楽曲を参加者がリミックスし、それをアリシア本人が選出して優勝者を選ぶという形になっており、何千人もの参加者の中から優勝を勝ち取り、そのプライズとして1月に行われた『第62回グラミー賞』に招待された。
グラミー会場では様々なアーティストや関係者との交流を深めると共にアーティストのライブを肌で体感し様々な刺激を受けて帰国したというMatt。ソロアーティストとしてはもちろん、プロデューサーとしても日々進化し続けているMattの今の声を聞くべく、今回はMattも普段から愛用しており、プロのミュージシャンにも愛用者が多いドイツのヘッドホンメーカー「ULTRASONE」(ウルトラゾーン)の国内販売に携わっている株式会社アユート Audio事業部の鈴木佑氏に同席してもらい、ヘッドホンと音楽の作り手として両者がこだわる「音」についても話を聞いた。(編集部)
『第62回グラミー賞』の会場で感じたこと
ーーMattさん、Splice主催のリミックスコンテストでの優勝おめでとうございます。どのようなきっかけで、コンテストへの出場を決めたんですか。
Matt:ありがとうございます。普段からSpliceをよく使用していたのですが、たまたまコンテストが開催されることを知って、昔から自分が大ファンで尊敬しているアリシア・キーズが審査することや、プライズのグラミー招待は大きなチャンスだと思いました。2000人以上の応募があったんですが、その応募方法がInstagramでハッシュタグを付けて投稿するだけだったんです。なので、きちんと見てもらえているかも不安だったし、結果の発表期日を過ぎてしまったから「ダメだったんだな」と諦めていたら、SpliceからDMが届いて、そのあとメールで「おめでとうございます」って書いてあって。自分でも信じられないぐらいびっくりしました。
ーー『第62回グラミー賞』(米ロサンゼルス ステイプルズ・センターにて開催)の会場に実際に行かれて、まずどんなことを感じましたか?
Matt:正直言葉では言い表せないほど色んなことがすごかったです。だけど、まずはグラミーと同じ日にコービー・ブライアント(元NBA選手、ロサンゼルス・レイカーズ)が亡くなったことが大きかったですね。彼はLAに住んでいる人にはヒーローみたいな存在だったし、しかも会場がレイカーズの本拠地でもあるステイプルズ・センターだったので、ショックを抱える人も多かった。僕もどうなるのだろうと少し不安でしたが、いざスタートするとコービーから皆がインスピレーションを受けて臨んでいたし、トリビュートステージも素晴らしかったです。
ーーコービーの逝去はとても大きなトピックでしたね。加えて、今年は若いアーティストのノミネートが多かったように感じました。
Matt:そうですね。ニュージェネレーションのアーティストが多かったし、BTSは5年前ぐらいにプロデュースさせてもらったことがあって(2016年『YOUTH』収録「Good Day」「Wishing on a star」)、彼らがグラミーのステージに立っている姿を応援しながら本当にすごいなと思いました。
ーー他にも実際会って嬉しかったアーティストはいますか。
Matt:ライブはしていなかったんですが、若手ラッパーのGuapdad 4000が会場にいて、彼はJ.Cole率いる<Dreamville>とも一緒に作品を作っているんですが、ずっと大好きで注目していたので、Guapdadと会って仲良くなれたことは嬉しかったです。今度東京に来たら一緒に曲を作ろうという話もしました。