佐藤結衣の「K-POPメンバー図鑑」Vol.3
BIGBANG G-DRAGON、“King of K-POP”としてシーンに起こした革命 強さと繊細さの両立がキーに
ソロ活動で見せる“クォン・ジヨン”としての一面
徹底した作り込みも、そこに漂う一貫した美意識も、彼の繊細さ故に為せる技。ファッショニスタとして認識されて久しいが、彼の手がけるブランド「PEACEMINUSONE(ピースマイナスワン)」でも、その細部まで行き届いたコンセプトへのこだわりが見て取れる。ピースマークから1本取り除く(マイナス)と“GD”が見えてくるという、発見のあるロゴ。花びらが1枚欠けたデイジーは、ロゴ同様に8時の方向を指す。1988年8月18日の誕生日、2006年8月のデビューと“8”に縁があること。そして、デイジーの花言葉は“平和“……といった具合に。一つひとつのものづくりに一貫性がある。
その一貫したポリシーを持ちながら、新しいことに挑戦していく。ソロアルバムをUSBでリリースしたのもシーンに衝撃を与えた。自分の感性を信じて貫く強さと、そこで表現されるものの繊細さ。その両立は、彼の中にある“G-DRAGON”というイメージと、生まれ持った“クォン・ジヨン”の二面性でもある。兵役に就く前の最後のソロツアー『2017 WORLD TOUR <ACT Ⅲ, M.O.T.T.E>』にカメラが密着したドキュメンタリーでは、G-DRAGON自身がこうつぶやいていた。「G-DRAGONのイメージは都会的で、ジヨンは田舎に住む子です。僕にとっては。G-DRAGONとはそれをカバーするために作られたイメージです」。
ステージの上では雄々しいラップを見せたと思いきや、トーク番組になると端のほうで静かに微笑む。クールな素振りを見せて、純粋に笑う。社交的に見えて、人見知り……。強くあろうとする自分と、もともと持つ思慮深い自分と。その両面を表現に落とし込めるからこそ、G-DRAGONの放つ作品は私たちを魅了してやまない。強くありたいときも、弱ってしまったときにも、寄り添う音楽を、ファッションを、空間を、時間を、プロデュースしてくれる。そんな“King of K-POP”が、ついに今年カムバックする。G-DRAGONが見せてくれる、新しい世界に熱狂する日がすぐそこまで来ている、そう思うとやはり体がうずいて仕方ない。