めいちゃん、作家としての才能も光るアルバム『大迷惑』 変幻自在な歌声で日常に寄り添う1枚に
24歳にして活動10年目を迎えためいちゃん。明瞭な滑舌に爽やかなボイス、そしてその天真爛漫なキャラクターで人気を集め、ネットシーンで活躍している“歌い手”である。
彼は多数のネット発アーティストが出演する人気ライブ企画「XYZ」のメンバーとして、全国のZepp公演や横浜アリーナ公演も経験している他、3月26日の『ひきこもりたちでもフェスがしたい!』では出演者の1人として東京ドームに立つ予定だ。2019年からは、同じく歌い手のGero、コニーと3人組YouTuber・肉チョモランマとしての活動も開始。同チャンネルの登録者数は、開設からわずか1年足らずで18万人を超えた。
そんなネットエンタメの世界で幅広く活躍しているめいちゃんが、自身2枚目となるソロアルバム『大迷惑』を3月4日にリリースした。なお今回のアルバムを引っ提げて、札幌PENNY LANE24、Zepp Tokyo、梅田CLUB QUATTROなどを巡る『ワールドワンマンツアー7「超迷惑」』も先日発表され、全国に“迷惑”を撒き散らす予定だ。
本来“歌い手”というとカバーを中心に活動しているイメージが強いが、今回のアルバムは全曲が、人気作家や自身によるオリジナルソングという贅沢な構成である。VOCAROCKを中心に名を馳せてきたナナホシ管弦楽団、音作りと言葉遊びの鬼才・柊キライ、不協和音の術士・蜂屋ななし、複雑なリズム構成で惹きつける技巧派・ツミキ、どこか切ないロックサウンドが心を揺さぶるbuzzGなど、気鋭の若手から多くの代表曲を持つボカロPまで、豪華な顔ぶれが大集合。なお、めいちゃん自身が大ファンであり、ファンキーなサウンドがクセになるロックバンド・BRADIOとコラボした「ホレボレボリューション」も収録されている。
それぞれに我流のスタイルを持った個性の強い作家陣の楽曲を、確かな歌唱技術と経験で、めいちゃんはモノにしてみせた。バラードからロックチューン、時にはラップにも挑戦してどのナンバーも曲と自分の個性をギリギリのバランスで残し、全体として非常に情報量の濃い1枚に仕上げている。
クセがなく聴きやすいめいちゃんの歌声は、自らの技術と意識次第で変幻自在だ。悲壮感が漂う「メビウス」、大人の魅力を感じる「シャボン」、複雑なリズムを見事に乗りこなした「Light」、サビのワードのたたみ掛けが心を揺らす「話してよ」などは、ライブでどのような生歌を展開するのか楽しみでならない。ことネット音楽シーンにおいて、歌える曲の幅広さは、魅せ方の幅広さに直結する。今回のアルバムは、彼のシンガーとしての無限の可能性をぎゅっと詰め込んだ作品と言えるだろう。