『FANTASTIC 9』インタビュー

FANTASTICSが語る、1stアルバムに込めた“9人”の思い 世界、佐藤大樹が各メンバーに与えた影響とは

 「LDH PERFECT YEAR 2020」でさまざまなアーティストが動きを見せる中、EXILEとの兼任メンバーの世界、佐藤大樹(以下、佐藤)を擁するFANTASTICS from EXILE TRIBEも、記念すべき1stアルバム『FANTASTIC 9』を2月12日にリリース。昨年開催の1stツアーと同じタイトルを冠したアルバムや表題曲に込めた思いを、ツアーについて振り返りつつ語ってもらった。この日はEXILEのツアー中につき、世界、佐藤のリーダー2人以外のメンバーがインタビューに回答。そんな2人がグループで果たしている役割やメンバーに与えた影響などについても聞いてみた。(古知屋ジュン)

『FANTASTIC 9』は思い入れのあるキーワード

左から木村慧人、堀夏喜、八木勇征、澤本夏輝、中島颯太、瀬口黎弥

――アルバムの初回盤にも映像が収録されていますが、『FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE』は、前半がお芝居、後半がライブという斬新なスタイルのツアーでした。今回のアルバムとタイトルが一緒ですが、リンクしている部分が大きいということでしょうか?

中島颯太(以下、中島):実はこのアルバムの曲順は、まったく同じではないですがツアーのセットリストの曲順に沿った形になっているんです。『FANTASTIC 9』というタイトルが僕らにとって思い入れのあるキーワードだというのはもちろん、ホールツアーに来ていただいた方には、本作を聴いてもらうことでツアーのことをいろいろ思い出していただけるんじゃないかなと。

――なるほど。ではそのホールツアーについて少し振り返っていただきたいです。リハーサルが台本の読み合わせからスタートしたというのもユニークですね。

澤本夏輝(以下、澤本):もちろん、LDHの先輩方が築いてきた道筋があったからこそ、僕たちなりのエンタメ=SOUND DRAMAに行き着いたのですが。おっしゃるようにリハが読み合わせから始まって、「こういう始まり方なんだ!?」と驚きつつ、どういう気持ちで臨んでいったらいいのか戸惑うところからスタートしました。でも本読みの一言目から、(佐藤)大樹くんがDRAMAパートの世界に入り切った形でしてくれたので、そこから僕たちも「こういうテンションでいけばいいんだ!」と参考にしたりして。あの中では自分で自分を演じるので、日ごろの自分をステージ上でどう発していけばいいのか、表情や手の動きとかも工夫しながらやっていました。FANTASTICSの初のツアーですから「僕たちのステージはこう始まっていくんだな」とワクワクしながら。

堀夏喜(以下、堀):まずこういう形でのツアーになると聞いたときに、どういうつながりでDRAMAパートからSOUNDパートへもっていくのかが、まったく想像がつかなかったんです。構成にしても、たとえば最初と最後をライブにしてお芝居を挟む形にもできるでしょうし……読み合わせを進めていって、ようやく自然につながるイメージができたんですけども、結果的に自分たち発信のアイデア満載の内容になりましたね。途中に入るコント風のパートは元々はなかったんです。稽古のときに(演出の鈴木)おさむさんの前で「隙間という隙間にアドリブを入れまくってやってみよう」と試したのが「面白いからこのままいこう」ということで採用されたりして、全体的にすごくのびのびとやらせていただきました。初日を終えたときに、今までに感じたことのない疲労が心身ともに来るタイプのライブだなという風には思いましたけど(笑)。前半の演技での気疲れと、後半の心拍数を上げて踊る疲れが混ざって。

――颯太さんはDRAMAパートでの関西弁のツッコミも好評でした。

中島:あれも稽古中に自分のセリフがないところでツッコミを入れたりしていたら、大樹くんが「じゃあ、ここは颯太がツッコむところにしよう」と提案してくれて、そこはシンプルに楽しかったです。僕らは武者修行の頃からパフォーマーも含めて全員がMCでしゃべるグループなので、今回の表現はすごくFANTASTICSにも合っていると思いました。前半のお芝居で会場全体をFANTASTICSの世界に引き込むからこそ、後半のライブでのエネルギッシュな盛り上がりをすごく感じられたので、DRAMAあってのSOUNDだったなと改めて感じています。

木村慧人(以下、木村):僕はDRAMAパートでは「青春映画みたいなことをやりたい」ということで、そこでは振り切ってキザな感じに徹したりして。でもみんなそうだったと思うんですけど、お芝居からライブに移るときの気持ちの切り替えがなかなか大変でした。『LDH PERFECT YEAR 2020 COUNTDOWN LIVE』のときにもステージ上での思いの発し方や、無意識にですけど前よりも自然にできるようになっていたので、このツアーでの経験を次のアリーナツアーにも活かせたらと思っています。

八木勇征(以下、八木):慧人がリードする“胸キュンワード”の部分では、大樹くんを筆頭に本番前にネタ合わせをしたりしていましたね。さっきなっちゃん(堀)が言ったようにアドリブから発展したものだったんですが、それを1公演ごとにいろいろ考えたりして。パフォーマーのみんなはSOUNDパートで一気に心拍数が上がって大変だったと思うんですけれども、僕たちボーカルもツアーの序盤にはアップテンポの曲から急にバラードに移ったりするので、発声の切り替えの難しさはすごく感じていました。公演を重ねるにつれて自分の中でバランスのとり方がわかってきたので、いい経験になったと思います。あと本格的な稽古が始まる前に自主練みたいな形で、大樹くんに演技レッスンをしてもらったんです。舞台用の発声についても一から教わって、SOUNDパートで声が枯れてしまわないように取り組めたのも勉強になりました。

瀬口黎弥(以下、瀬口):個人的な話になりますが、お芝居の中でドラマのテイストに合わせて自分のやりたい曲を作ったり、ライブでは「WHAT A WONDER」の中でラップパートを作ったりできたのがすごくうれしかったです。あのDRAMAパートという形であれば、みんながやりたかったことを“夢”という形で伝えられるので、昔から好きだったラップに挑戦する場を作っていただきました。グループの新たな武器として、音楽性の幅を広げていきたいときに僕自身も貢献できたらいいなという思いもあったので。個人的にも成長できたライブでしたし、自分がこういうことをしたいんだなというのを見つけられたのもよかったと思っています。

――そして記念すべき1stアルバムが完成して。

瀬口:いやあ、うれしいです。デビューしてまだ1年ちょっとですが、デビューしたころはFANTASTICSを「OVER DRIVE」の中で表現するしかなかったので……もちろんこの曲は何百回と踊ってきた、思い入れのある曲ではありますが。武者修行時代から応援していただいている方々に自分たちの進んできた道のりを振り返ってもらうことができますし、最近僕たちを知った方々にもここを入り口に自分たちについて知ってもらうこともできます。

FANTASTICS from EXILE TRIBE / 「OVER DRIVE」 FANTASTICS SOUND DRAMA 2019 FANTASTIC NINE@パシフィコ横浜

中島:「こんなに(曲数を)録ったんだ?」という感慨深さもあります。1曲1曲いろんな挑戦をして学んできたので、聴けば「この曲のときはああいう感じだったな……」といろいろ思い出すこともありますし、ファンの方にはどう聴いていただけるのかな、と気になる部分もあります。

八木:最初の頃に録った「OVER DRIVE」や「Turn Back Time」を自分たちのバージョンとして歌い直すに当たって聴き直したりしていると、自分でも声が変わったなと思います。「OVER DRIVE」はオーディションの課題曲として歌わせてもらっていた曲で、当時はいっぱいいっぱいで歌っていましたし、レコーディングでも何度もテイクを録り直しました。自分がボーカリストとして本当にまだまだだと痛感させられたことも昨日のことのように思い出しますし、初心に帰れるような、そんな思い入れの詰まった一枚になったなと思います。

瀬口:パフォーマーの僕らとしては、ダンストラックの「FANT-A-STEP」や「Shamblesz」が入っているのもうれしいです。当時、武者修行を観に来ていただいた方には特に刺さると思います。そこもパフォーマー集団から始まった僕たちの歴史を振り返れるポイントだと思います。

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