MACOの歌声に宿る多くの人の心を掴む“伝える力” 初のアコースティックライブをレポート

 「ライブは幻だと思ってたんです。1から100まで覚えられないから。でも、幻なんかじゃないなと思ったんです。デビューから5年迎えて……」と前置きして次に歌い始めたのは新曲「愛する人」。繊細なピアノのイントロから豪華な演奏へと移り変わっていくミディアムバラードで美しい。

 次に歌った「恋蛍」では照明の演出が印象的だった。ステージ上に散りばめられたランプがゆっくりと明滅し、幻想的な空間を作り出す。〈きっと私は恋蛍〉と歌うと、ちょうどMACOの頭上にあるランプだけが、まるで“ホタル”のように光り出す。客席の無数のペンライトと一体となったのを感じた。

 続いて披露したのはレミオロメン「3月9日」のカバー。これを歌った動画がTikTokで現在100万回再生を突破。最後に歌った「桜の木の下」と同じく、ドラマ『僕だけが17歳の世界で』(AbemaTV)の挿入歌に決定しているという。

 最後は「歌い終わるのがすごくもったいないなと思いながら歌ってました。今日はいろいろある中、ここに遊びに来てくれてどうもありがとうございます」と挨拶し、鳴り止まない拍手の中で深々とお辞儀して終演した。

 アンコールはあえてせずに、本編の二部構成で挑んだアコースティックツアー。デビュー期から、終盤は“今のMACO”へ。前半のアットホームな空気感に対して、後半の歌いながら羽ばたいていくような姿が印象的な一夜であった。

 “シンデレラ”のような輝きと同時に、確かな才能を持ったアーティストであり、人びとに“伝える力”を持っている。ツアー最終日、そこには“第二章”を着実に歩んでいるMACOの勇敢な姿があった。

■荻原 梓
J-POPメインの音楽系フリーライター。クイックジャパン・リアルサウンド・ライブドアニュース・オトトイ・ケティックなどで記事を執筆。
Twitter(@az_ogi)

MACO オフィシャルサイト

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