I Don’t Like Mondays.が届けた、ミラーボールのように輝く明日への光 自身最大キャパ豊洲PIT公演を振り返る

 不意にフロアが真っ暗な闇に包まれ、おもむろにギターを手に取るYUだけがスポットライトに照らされると、溶けてしまいそうなほど甘く繊細な歌声と共に「PLEASE」が始まった。曲の終盤には、ライブでしか聴けないCHOJIの特別なギターソロをたっぷりと披露。楽曲の持つ壮大な雰囲気を引き立てる。つづく「Zero Gravity」では、高い天井でミラーボールが回り、ムーディーな雰囲気へと会場を変えた。

 「去年僕らは、レコード会社と事務所を移籍して、周りのスタッフたちも変わりました。そんな中で、僕らがどんな音楽をやっていきたいのかを見直して、本当にやりたいことを詰め込んでリリースした一枚です」。そう真剣な眼差しをフロアへ向けて語るYU。昨年夏、実に3年ぶりにリリースされた『FUTURE』は、バンドを取り巻く状況の変化を通し、さらに成長した彼らの魂が籠ったアルバムだ。この日のセットリストも、多くはこのアルバムから披露されたもの。「生きていると、楽しいことばかりじゃないと思います。時には傷ついたり、自信をなくしたり。そんなとき、音楽で心に寄り添えたらいいなという思いでつくった曲です」と語ると、優しいバラードソングの「CALL ME」を披露。

 傷ついた心に光を灯すようなこの曲に、会場にいた何人の心が救われたのだろうか。余韻をかみしめていると、不意にDJタイムがスタート。オーディエンスを焦らしながら少しずつテンションを上げていき、「Do Ya?」で一気に開放へ。会場はダンスフロアに変わり、テンションのピークを迎えたオーディエンスたちが自由気ままに音を楽しんでいる。カラフルなライトがフロアを駆け巡る「Freaky boy」でCHOJIが背面ギターを披露すると、割れんばかりの歓声が会場を包み込む。たくさんのピンクのスポットライトが踊るようにステージ上で左右に揺れ、まるで夢のような時間を演出していた。

 極めつけの「WE ARE YOUNG」で、再び会場が一つになる。オーディエンスは笑顔で手を挙げ、飛び跳ね、I Don’t Like Mondays.が奏でる音楽に身を委ねていた。本編ラストは、オーディエンスと共につくりあげる「TRY FOR YOU」。フロアを上手と下手に分け、CHOJIとKENJIの歌うメロディーを会場に集まった全員で大合唱。3,000人以上がつくりあげる一つのハーモニーに、ステージにいるメンバーたちも満足そうな笑みを見せていた。

 アンコールは、リラックスムードの中で新曲「Plastic City」を披露。この曲に限り撮影OKだったため、たくさんのスマホがステージに向けられる。集まった一人ひとりのスマホに、この日の景色が収められた。つづく「gift」は、冬にぴったりのバラード。ステージに降り注ぐいくつもの白い光は、まるで雪のようだ。ムードたっぷりの幻想的な演出の中、YUの極上の甘い歌声が響いていた。

 この日のラストを飾るのは、アルバムのリード曲でもある「DIAMOND」。「俺はどんどんやってくよ。お前らどーすんの?」なんて少し挑戦的な煽りで発破をかけられたフロアは、大きな歓声と拍手で応え、最高のフィナーレを迎えた。おそらく会場にいる誰もが思っただろう。“この夜が永遠に続けばいいのに”と。それほど幸福感に満ちたライブだった。しかし、ラストの「DIAMOND」に〈涙の溢れる夜でも 明日を見つけにいけるよ〉という歌詞がある。I Don’t Like Mondays.がライブを通して私たちに届けてくれたのは、明日へ向かうための光だった。その光は、この日集まった人々の胸の中で輝き続ける。そしてその光は、大嫌いな月曜日に立ち向かえる強さにも変わってゆくのだろう。

■南 明歩
ヴィジュアル系を聴いて育った平成生まれのライター。埼玉県出身。

■セットリストプレイリスト
I Don't Like Mondays."F U T U R E" TOUR TOKYO2020.2.8 @ TOYOSU PIT

■リリース情報
『Plastic City』
2020年2月26日 デジタルリリース
※「C COFFEE」CMソング

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