KERENMI「ROOFTOPS feat. 藤原聡」がバイラルチャート1位 蔦谷好位置の“翻訳力”や“実験性”が表れたプロジェクトに

 話を戻すと、今回の「ROOFTOPS feat. 藤原聡」は、ボーカルにOfficial髭男dismの藤原聡を迎えた一曲。AbemaTVオリジナル番組『オオカミ』シリーズの最新作『月とオオカミちゃんには騙されない』挿入歌としても注目を集めている楽曲だ。藤原がOfficial髭男dismで見せる、R&Bを下敷きにした生音重視のポップソングではなく、打ち込み主体で近年のR&B〜HIPHOP〜ゴスペル的な譜割りと歌唱が際立っている。BACHLOGICによる、歌を前面に出すのではなくウワモノとトラックの間に置いたMixも絶妙で、世界を見据えてスタートさせたプロジェクトであることも納得の出来となっている。

 そもそも、蔦谷はOfficial髭男dismの「イエスタデイ」と「宿命」でプロデュースと共同編曲を手掛けているのだが、「イエスタデイ」を改めて聴いてみると、蔦谷はこの段階で、すでに藤原とこの手の音楽が合うことを見抜いていたのかも、と思ってしまう。Official髭男dismとしても、アルバム『Traveler』のラストトラック「Travelers」でデジタルクワイア×ゴスペルへの適性を見せており、今回の「ROOFTOPS feat. 藤原聡」は、2人がJ-POPのフィールドで行ってきた“ささやかな実験”の延長線上に実った果実といってもいい。

Official髭男dismの「イエスタデイ」
Official髭男dism
Official髭男dism「Travelers」

 そして、KERENMIの手札は「ROOFTOPS feat. 藤原聡」だけではない。3月4日にリリースされるアルバムには、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)、Chara, 高岩遼(SANABAGUN.)&GOODMOODGOKU、奇妙礼太郎、大比良瑞希、SALU & Michael Kanekoと、音楽好きとして「そこを突くか!」と叫んでしまう絶妙なラインナップが揃っている。それぞれの楽曲が日本や世界でどう受け入れられ、2020年代の音楽シーンに風穴を開ける一枚となるのかを楽しみに待ちたい。

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