Official髭男dism、ドラマ『恋つづ』登場人物の感情をどう表現? 主題歌「I LOVE...」の歌詞から考える

 これに対し、イレギュラーなことではなく〈普通の事だと とぼける君〉という部分が天真爛漫でまっすぐな佐倉と重なる。そして〈見えない物を見て笑う君の事を 分かれない僕が居る/美しすぎて目が眩んでしまう〉と本心をあまり語らない天堂の気持ちを主題歌が代弁しているように聴こえてくる。人に愛情を抱くことを普通だと笑う「君」と、愛することを恐れ、アイラブの続きが言えない「僕」、そんな愛をめぐる曲なのだと思う。カーテンで作られた暗闇、鼠色の街が「彩られて」ゆき、〈完全に分かち合うより 曖昧に悩みながらも 認め合えたら〉と「僕」が次第に愛の形を見つけていく展開は、今後のドラマの内容とも重なっていきそうだ。

 ここまで聴いてきて、天堂が佐倉に抱く感情と見事にリンクしており、主題歌として物語をより奥深いものにすることに成功していると感じたが、最後のあるフレーズに同曲のより大きな広がりを感じた。本曲は最後〈受け取り合う僕ら 名前もない夜が更けていく〉と、愛は差し出し受け取り合うものであり、そんな世界が続いていく、と様々な形の愛を示唆して終わるのだ。

Official髭男dism「I LOVE...」

 実際、同曲についてOfficial髭男dismは「恋人同士はもちろんのこと、友人、家族、ペット、同僚、性別など対象を問わない“LOVE”についての歌です」とコメント。藤原も自身のTwitterで「人生を彩る、すべての大切な存在への感謝の歌ができました!」と語った(参照)。愛によって様々な人生が彩られていく、そんな愛の連鎖を曲から感じてたまらない気持ちになり、もう一度再生ボタンを押した。

 ドラマの中で、天堂はストイックであるがゆえに超どSな「魔王」と恐れられ、無謀ながら天堂にまっすぐ想いを伝え続ける佐倉は「勇者」と呼ばれるなど、序盤はコミカルな展開だった同ドラマ。しかし徐々に天堂の性格を形作った過去が明らかとなるなど、主題歌とドラマがクロスし、より盛り上がりをみせていくに違いない。第3話では佐倉が天堂に「私が先生を笑わせます」と宣言し、天堂が嬉しそうに少し微笑むシーンで終わっており、まさに天堂の人生が佐倉によって彩られていくことを予感させた。

 それにしても、ここまで良い音楽を連投できることに、改めてヒゲダンが末恐ろしいバンドであることを感じざるを得ない。同曲は1月15日より先行配信がスタートし、iTunes総合リアルタイムランキングや、LINE MUSIC総合リアルタイムランキングを始めとした配信チャートで1位を獲得し、全14冠に輝いている。彼らの曲は今年も、様々な世代、様々な境遇の人にあたたかく、まっすぐに届いていくのだろう。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

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