Official髭男dism、ドラマ『恋つづ』登場人物の感情をどう表現? 主題歌「I LOVE...」の歌詞から考える
昨年大ブレイクを果たしたヒゲダンことOfficial髭男dism。彼らの最新曲「I LOVE...」が、期待を裏切らず素晴らしい。同曲は2020年1月よりスタートした火曜ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)の主題歌。本ドラマは、小学館『プチコミック』で掲載されていた円城寺マキによる同名漫画を原作とした作品である。容姿端麗で頭脳明晰な医者・天堂浬(佐藤健)を追って看護師になった佐倉七瀬(上白石萌音)が、持ち前の根性で仕事に恋愛に次々に起こる困難に食らいついていくストーリーだ。
実はこの主題歌、ドラマの最後に毎回ほぼフルで流されている。このことが示すように、曲全体がドラマの内容とリンクし、印象的に用いられている。ヒゲダンの代名詞の一つとも言える、軽快なホーンの音色に導かれ、次週の展開が気になってしまうほどの高揚感で同曲はスタートする。タイトルの通り、I LOVE...の続き、I LOVE YOUと「君」に言い切れない「僕」の歌だ。
同曲で印象的なキーワードとして、〈イレギュラー〉と〈色彩〉があげられると思う。日々卒なくこなしていた主人公が、「君」が現れてから〈不思議な引力に逆らえず崩れてく〉という部分は、佐倉の登場によって天堂の心境に変化が訪れるというストーリーとリンクする。また〈引力に逆らえず〉という表現により、「僕」にとってこれがイレギュラーな展開であることも示唆している。そしてこのイレギュラーを〈水槽の中に飛び込んで溶けた絵の具みたい〉とする描写は、筆者自身も好きな美しい一節である。予測できない絵具の広がりへの不安と、未知の展開への期待。その両方をうまく表現していると感じる。(ちなみにこの一節はジャケットにも表現されており、絵の具がI LOVEを形作っているように見えるのだが、いかがだろうか)そして独りではその鮮やかな彩りに気付けなかっただろう、と藤原が裏声を交えて歌い上げる。