『未完成」インタビュー

家入レオが明かす、『絶対零度』主題歌に投影した“未完成”な自分 「人を愛するって綺麗事だけじゃない」

これからも剥き出しのままで生きていくしかない


ーーこの曲を書くにあたって、他に何か影響を受けた作品はありましたか?

家入:平野啓一郎さんの『私とは何かーー「個人」から「分人」へ』を読んで、それでまた生きるのが楽になりました。自分は「1人」じゃなくて、人と出会う数だけ自分が生まれる。その中から、「この人といる自分が好き」と思える相手と一緒にいるべきだし、「この人といる自分はあまり好きじゃない」と思ったら、心地よくなれる距離を探すべきだということが書かれているんです。

 それと、千早茜さんの『男ともだち』にも感銘を受けました。イラストレーターの主人公が、ある写真展で作品を観て号泣する場面があるんですけど、そこを読んだ時に自分が小学生の頃を思い出したんです。当時、テレビのオーディション番組を観ていたら、自分と同じ年の子が大勢の前で自己PRをしたり、歌ったり踊ったりしている姿を見た時に涙が止まらなくなったんですよ。「同じ年の子がこんなふうに頑張っている時に、私は何をやっているんだろう、何のために生まれてきたんだろう」とまで思ってしまった。

ーー感動すると同時に、自分を否定されたような気持ちになってしまったのですね。

家入:自意識過剰ですよね(笑)。母にも、「どうして?『あら素敵、綺麗』でいいじゃない? あなたが否定されているわけじゃないのよ?」と言われていました。でももうしょうがないなと。私はそうやって生きてきちゃったし、これからも剥き出しのままで生きていくしかないなと思って。それで丸裸になって書いたのがこの「未完成」という曲です。

ーー2曲目の「UNCHAIN」は、どんなふうに作っていきましたか?

家入:ツアーでベースを弾いてくれている須藤(優)さんが作ってくれました。須藤さんとはいろんな形で曲作りをしているのですが、この曲を聞いた瞬間「うわあ、すごくいいなあ」って。しかも歌い上げるのではなく、呟くように歌った方が合っている曲だなと。新しい家入レオに挑戦出来るかもしれないと思ったんですよね。テーマは「クォーターライフ・クライシス」が合うんじゃないかと思って、歌詞を書いていきました。

ーー20代後半から30代に訪れる、人生への焦りや幸福の低迷期を「クォーターライフ・クライシス」と呼ぶそうですね。

家入:それこそ周りで結婚や出産を経験する人が増えたり、幼なじみの子たちが人生の中の大きな選択をしているのを見ると、自分の中でも新しく何かをはじめたいな、と。

ーーそういう、新しい自分の可能性や役割を模索する時にはいつも何から始めますか?

家入:本を読んだり映画を観たり、演劇を観に行ったり……感情を他に探しに行きますかね。あと、自分が好きなことを見つけるために、幸せを感じるときのことを書き出します。ご飯食べるのが好きだと気づいたら、「じゃあお家で手の込んだおせち料理でも作ってみようかな」とか。

 最近は休日に小説を書いているんですよ。それは、20年後に完成するかもしれないし、今年中に出来上がるか分からないけど(笑)。今できることの範囲でパワーを貯めておくのが大事なのかなと。何がどう繋がるか分からないですしね。

ーー「結婚」の話が出ましたけど、今現在の家入さんの結婚観はどのようなものですか?

家入:この間、福岡の祖母と電話で話して「いい人、いるとね?」って言われたときに「ああ、そういう年齢だよな」って思いましたね(笑)。

 結婚は自分だけの問題じゃなくて、相手のいることじゃないですか。求めすぎても、求められすぎてもうまくいかないんだろうなと。ただ、一つ思うのは、私は誰かを好きになるときに、恋をしにきている姿勢に心を惹かれたことがあまりなくて。その人が仕事をしている姿や、何かを一生懸命頑張っている状態に惹かれるんですよね。だから私も、自分が今目の前にあることを一生懸命やっていれば、どこかのタイミングでそういう機会が来るのかなと思う。あまり、結婚って「何歳までに」というものでもないと思うし。

ーー家族のあり方みたいなものも変わってきている気がしますね。

家入:そう思います。それは、LGBTQにあてはまらなくても、女性同士が自分たちの人柄に惹かれあって、一つ屋根の下で暮らすようになって。どっちかが他の人と授かった子を育てたりとか。そういうことが当たり前になっていくんじゃないかと思っています。自分がどういうものに当てはまっていくのかは分からないけど、東京にいると特に社会的なプレッシャーみたいなものも、そんなに感じないんですよね。それもまた怖くもあるんだけど(笑)。

ーーもう、血のつながりへのこだわりも無くなっていくのではないかなと。

家入:自分で選ぶ。そういう世の中にもっともっとなっていけば、いろんな人が生きやすくなると思いますね。

■リリース情報
16thシングル『未完成』
発売:2020年1月29日(水)
<初回限定盤A CD+DVD>
価格:¥1,800(税抜)
<CD>
01. 未完成 (フジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』主題歌)
02. Unchain
03. Every Single Day(Acoustic Version)
04. 未完成(Instrumental)
05. Unchain(Instrumental)
<DVD>
Acoustic Sessions Movie
01. miss you
02. a boy
03. Overflow
04. For you
05. Shine

<初回限定盤 B>
価格:¥1,800(税抜)
<CD>
初回限定盤A と同内容
<DVD>
01. 未完成(Music Video)
02. 未完成(Music Video Making)

<通常盤 CD>
価格:¥1,200(税抜)
<CD>
初回限定盤Aと同内容

<ニューシングル「未完成」店舗別オリジナル特典>
下記対象店にてCDシングル「未完成」予約・購入すると、先着で<家入レオ「未完成」カレンダー入りオリジナルポストカード>(*絵柄は全7種)をプレゼント。Amazon.co.jpは「デカジャケ」。

<対象店>
絵柄A:
・タワーレコード 全国各店 / タワーレコードオンライン
絵柄B:
・HMV 全国各店 / HMV&BOOKS online
絵柄C:
・TSUTAYA RECORDS 全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング
※TSUTAYAオンラインショッピングは予約分のみ対象。
絵柄D:
・楽天ブックス
絵柄E:
・セブンネットショッピング
絵柄F:
・ビクターオンラインストア / WIZY
絵柄G:
・その他、全国CDショップ(後日店名追加発表予定)
・山野楽器   CD/DVD取り扱い店舗
・ネオウィング
・玉光堂    各店舗
・バンダレコード 各店舗
・ブックセンター湘南栗原店、ブックセンタークエスト黒崎井筒屋店、小倉本店、
ブックセンタークエストエマックス 久留米店、積文館書店 筑紫野店
・紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店、ゆめタウン廿日市店
・成田本店 しんまち店、みなと高台店
・八文字屋長井店、丸井八文字屋、みずほ八文字屋
・スクラム  古川店、大河原店
・文榮堂 ヴィレッジヴォイス/ リブロ ひたちなか店/ よむよむ 草加松原店/ 宮脇書店 加美店/ ライオン堂

<デカジャケ>
・Amazon.co.jp
※特典のカレンダー入りオリジナルポストカード絵柄は7種類です。対象店により絵柄は異なります。(Amazon.co.jpはデカジャケ)
※特典は無くなり次第終了。
※対象店は随時追加となる可能性あり。
※一部取扱いの無い店舗もあり
※各オンラインショップにて予約受付中

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