『温泉むすめ』SPRiNGSが未来へ繋ぐ“湯夢色バトン” 3DCGハイブリットライブに感じた可能性
日本全国の温泉地をモチーフにキャラクター化し、音楽やイベント活動を通じて地域活性に取り組むクロスメディアプロジェクト『温泉むすめ』。同作より生まれたユニット・SPRiNGSが2019年12月22日、東京・福生市民会館大ホールにて『SPRiNGS 3rd LIVE ~湯夢色バトン~』を開催した。
いまや観光庁の後援プロジェクトとなった『温泉むすめ』。2019年には、SPRiNGSのメンバーである高田憂希(草津結衣奈役)が、念願だった群馬・草津温泉での初イベントを開催したほか、SPRiNGSの9名から誕生した“温泉むすめ”たちも120名にまで増加。彼女たちは今日まで、全国各地でライブやイベントを開催することなどで、それぞれの生まれた地域に密着しながら、プロモーション活動に貢献している。また2020年には、観光庁と日本政府観光局による訪日誘客プロモーション『Your Japan 2020』に参加することも決まり、ますます多方面を巻き込むプロジェクトへと変貌を遂げそうだ。
そんな『温泉むすめ』において、プロジェクト始動当初から一貫しているのが、“地方への元気と笑顔の還元”を目指す姿勢だ。今回のライブ内容も、『温泉むすめ』の全国的な盛り上がりを象徴するかのようでもあり、SPRiNGSはその想いを受け取り、我々へと改めて丁寧に届けてくれた印象がある。本稿では、同ライブの昼公演の模様を振り返りたい。
ステージはまず、高田と草津結衣奈の2名による“ハイブリッドライブ”で幕を開ける。ここでは草津結衣奈の新曲「キズナ結び・エン結び」が歌唱されたわけだが、注目すべきはステージに高田のほか、3DCGシステムで投影された草津結衣奈も立っていたことだ。
これまでの声優ユニットによる2.5次元ライブといえば、ステージに立つ声優たちの歌声や動きに対して、彼女たちに内在化したキャラクターの影を感じ、声優とキャラクターの融合を楽しむものがほとんどだった。今回の試みは、従来にはない目新しさがある一方、彼女たちを明らかに分離するだけに、開演前には不安な部分を感じていたのも正直なところだ。
しかし、高田と草津結衣奈の2名が登場することで、彼女たちのシンクロしたダンスを見られるのはもちろん、それぞれの動きの大小や振りつけの角度の違いなど、細かな部分に着眼できるよい機会となった。また、草津結衣奈によってキャストとしての高田の存在が強調され、高田の“らしさ”を普段より感じられた点でも、面白い試みとして受け止められたのではないだろうか。さらに歌唱後には「いつもの2倍、うれしいよね!」と、2名でのパフォーマンスを喜んで振り返り、「たとえ2人になっても、やりたいことはただひとつ」「日本全国の温泉地を盛り上げて、日本を元気にしたい」という力強く宣言していたことも記しておきたい。