登坂広臣、アルバム『Who Are You?』レビュー 強烈なインパクト放つ楽曲揃ったソロ活動の集大成

 このアルバム唯一にして、登坂にとって久しぶりとなるスローバラード「One Way Love」は、ピアノ主体の静謐な空間を縫うように、募る片思いをストレートに伝えるボーカルが爽やかな聴後感を残す。ファルセットが際立つ透明度の高いメロディも印象的だ。また驚くべきは、この楽曲を「Who Are You?」と同じUTAとSunny Boyが手がけているという点。登坂の作品ではすっかりおなじみのコンビだが、一つのアルバムの中でまるで両極端なアプローチをやってのけるとは、一本取られてしまった気分だ。

HIROOMI TOSAKA / One Way Love (Music Video)

 このように注目曲揃いのアルバムなのだが、登坂の音楽を100%嗜むなら、Blu-rayもしくはDVD付きの形態に付属する映像特典も必見だ。ミュージックビデオは、先述した近未来的な趣がある「Who Are You?」、ピアノに腰掛けて歌うシンプルな仕様の「One Way Love」のほか、連結するストーリー構成で話題を振り向いた「NAKED LOVE」「OVERDOSE」、ポルトガルの美しい街並みが楽しめる「BLUE SAPPHIRE」を収録。さらに、2019年7月に台北で開催されたコンセプチュアルな単独公演『HIROOMI TOSAKA台北演唱會2019 SUPERMOON~UNDER THE MOONLIGHT~』の模様も収められる。本作を象徴する”アグレッシブな登坂広臣”は、巧みな手法を注ぎ込んだ映像と併せて味わってこそ迫真のスケールを発揮する。観賞しない手はないだろう。(HIROOMI TOSAKA from JSBIII Official Channel

 登坂といえば、今市隆二との合同ドームツアー『LDH PERFECT YEAR 2020 SPECIAL SHOWCASE RYUJI IMAICHI / HIROOMI TOSAKA』も間もなく幕を開けようとしている。さぞかし念入りに準備しているであろう登坂に倣い、オーディエンス側も本作『Who Are You?』を聴き込んで十分な助走をつけておきたい。何せ、前作『FULL MOON』よりも数段尖ったアルバムだけに、ステージ上で起こる覚醒の程度は計り知れない。登坂の本気に圧倒されて呆然とせぬよう、くれぐれもご注意を。

HIROOMI TOSAKA『Who are you?』

■白原ケンイチ
日本のR&B作品をはじめ、新旧問わず良質な歌ものが大好物の音楽ライター。当該ジャンルを取り上げるサイトの運営、コンピレーションCDのプロデュース、イベント主催の経験などを経て、現在はささやかに音楽ライフを満喫する日々。Twitter

HIROOMI TOSAKA『Who are you?』

■リリース情報
HIROOMI TOSAKA
『Who are you?』
発売:1月8日(水)

HIROOMI TOSAKA オフィシャルサイト

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