三代目JSB 登坂広臣の成功の秘訣は“俯瞰”にあり? 俳優、音楽活動のスタンスを辿る

 三代目 J SOUL BROTHERS・登坂広臣が、2月7日放送の『ニンゲン観察バラエティ「モニタリング」』(TBS系)、翌8日には『アナザースカイ』(日本テレビ系)に出演する。

 三代目 J SOUL BROTHERSは、今年元旦にグループ活動の“再始動”を宣言。3月に1年3カ月ぶりとなる新シングル発売、4月より5大ドームツアー開催を控えるなど、大きな流れを再び手繰り寄せている。また、登坂個人としても、現在公開中の映画『雪の華』で主演に抜擢。2014年8月公開の『ホットロード』以来、約5年ぶりの恋愛映画主演を務めている。

 そんな彼は以前、自身の「ここだけは誰にも負けないと思うところ」として、「物事を俯瞰で考えられる」と語っていたことがある(参考:月刊EXILE 2018年8月号)。その自己評価通り、登坂のマルチエンターテイナーとしての活動は、卓越したバランス感によって成り立っているのではないか。本稿では、登坂の2018年以降の活動を振り返りながら、その実例を紹介していきたい。

自らと役のそれぞれを俯瞰した役作り 

 前述した『雪の華』には、登坂演じるガラス工芸家を目指す青年の悠輔と、中条あやみによる余命1年を宣告された女性の美雪が登場。2人の切ない恋模様が描かれている。不器用ながらもひたむきな悠輔の性格を、「自分と共通する部分が悠輔には多かった」と語っている登坂(参考:月刊EXILE 2019年3月号)。その役どころは、演じていく上で自然に溶け込めるものだったのだろう。共演した中条は、「表現の細かさにすごく驚いたと同時に、表現することがとても好きな方なんだと思いました」と、彼の演技を褒め称えている。

 また、登坂は撮影に際して、自分なりにアレンジを加えたセリフを提案する場面もあったとのこと。自身の性格と似ているという、悠輔らしい言葉遣いを探していたのだろう。細かな言い回しを変更することで、映画のなかで悠輔の存在をより自然に映し出す目的があったのかもしれない。そして、それを実現するためには、彼のキャラクターだけでなく、登坂が自身の性格や特徴をも俯瞰して捉えていなければ難しいはずだ。振り返るに、登坂は自身の存在や演技を通して、悠輔と『雪の華』を結ぶ架け橋の役割を担っていたのだと思われる。

音楽活動で見せたソロとグループの“意識”の切り替え

 そんな彼の強みであるマクロな視点は、ソロアーティスト活動にも大きく活かされている。本稿冒頭に記した通り、2018年の三代目 J SOUL BROTHERSはその足取りを止めないまでも、その活動比重はメンバーによる個人活動に割かれていた。それは登坂にも当てはまるものであり、同年におけるHIROOMI TOSAKA名義での動きには目を見張るものがあった。

『HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 "FULL MOON"』

 登坂は、2018年8月に初のフルアルバム『FULL MOON』をリリース。同作収録の新曲で、彼は初のセルフ楽曲プロデュースに挑戦した。また、同作を携えた全国アリーナツアー『HIROOMI TOSAKA LIVE TOUR 2018 "FULL MOON"』も開催するなど、登坂にとって飛躍の季節となったことは間違いない。

 本稿で特筆したいのは、登坂の考えるグループとソロアーティスト活動での巧みな“住み分け”だ。代表曲「R.Y.U.S.E.I.」をはじめ、これまで数多くのリリース楽曲にオントレンドなサウンドを取り込んできた三代目 J SOUL BROTHERS。その傾向は一見すると、近年大きな躍進を見せるUSヒップホップなどを取り入れた、登坂のソロアーティスト活動とも通ずるように思われる。

 しかし、彼は自身のソロアーティスト活動について、「とにかく自分の好きな音楽、自分が今やりたいことを追求させてもらいました」と語っている(参考:月刊EXILE 2018年3月号)。両者の音楽は、最新鋭のサウンドを志向していながらも、その起点となる考えは微妙に異なるようだ。その上で、トロピカルハウス調の「DIAMOND SUNSET」や、サウンドの“引き算”を意識しつつ、トラップビートを取り入れた「FULL MOON」など、ハイクオリティな楽曲を制作しているのだろう。だとすれば、彼の音楽センスが並大抵ではないことは明らかだ。

 あわせて、登坂のグループとソロアーティスト活動における意識の切り替えは、作詞の観点にも表れている。前者での楽曲制作において、彼は「グループの曲を作詞しているときは、メンバーの表情や気持ちが浮かんでくるので、自分の想いを乗せることもあるんですけど、みんなの気持ちを代弁しているような感覚で作っています」とコメント。彼の歌うトラックのみならず、そこに乗せられる言葉もまた、ソロアーティスト活動とは異なる着想があるようだ。

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