PRIZMAX、7人で示した類を見ないエンタメ性 ひとつの時代の到達点を見せた『Level 9』

 アンコールはファン人気の高い「HUG&KISS」からスタート。最後のMCで、卒業する福本からホリックたちへのメッセージが伝えられた。「ハニーたち、楽しかったですか? 幸せですか? 15年間、芸能界でやってきて、2013年から5人体制で(PrizmaXを)やってきて、今7人で。メンバーのみんな、スタッフ、何よりもハニーたちと会えたことが本当に幸せです。芸能界はやめますけど、ハニーたちのダーリンはやめないので、これからも夢の中に出たらイチャイチャしてくれますか? 泣くのは今日だけでいいですか?」と、最後まで“王子節”全開で盛り上げていた。リーダーの清水も「悲しいこと、寂しいことではあるけれど、これをネガティブではなく、それぞれがプラスに持っていける人間であって、2020年を迎えられたらなと思ってます」とコメント。

 ライブがラストに近づく中、披露されたのは作曲をケビン、作詞を福本、振付を小川&清水、映像を森と島田、ボーカルディレクションを森崎が担当し「それぞれが愛を込めた」と語っていた「絆」(参考)。福本と向かい合うようなポジションで歌い始めた森崎だが、途中から涙で声が出なくなった。福本はこれまでにも「春空」「South Cross」という人気バラード曲の作詞を手掛けているが、この7人の出会いを7色の虹に例え〈違う色がそれぞれ合わさり 誰も見たことのない虹〉と表現するなど、この日は歌詞でもメンバーや会場に詰め掛けたホリックたちを泣かせていた。涙のパフォーマンスのあと、清水と福本がハグしあったところに森崎が続き、最終的に全員で抱き合って泣いていた7人。あくまでもライブ感を大切にしようとする彼らの配慮もあり、この前後の流れがおそらく会場のホリックたちの脳裏にしっかりと焼きついているだろうことは想像に難くない。7人体制ラストの曲として披露されたのは「Three Things」。晴れやかなサウンドの中、ふざけ合いつつも泣き笑いのような表情で福本と顔を見合わせていた森崎が「ゆうちゃん、お疲れ!」と楽曲を締めくくった。

 ショートバージョンの楽曲を含め2部だけでも31曲、アップダウンが激しくサプライズ的な要素も多いセットリストで、まさに観客の血を躍らせるような一夜だった『Level 9』。演劇的な要素も多く含まれたその流れや密度の濃さを思い返すと、ダンス&ボーカルグループとして類を見ないエンタメ性を誇るチームであり、卒業する福本も最後のブロックまで、そのスピリットを体現する気合いで臨んでいたのだろうと思う。去り際に深々と一礼したあと、ホリックたちに「好き!」と叫んでいた福本の笑顔を思い返している。

(文=古知屋ジュン/写真=笹森健一)

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