嵐、“神風”のごとく加速を続けた一年に 活動休止発表から現在までを振り返る

2020年、嵐が次に見据えるものとは

 忘れられない一日となったのが11月9日。「即位礼正殿の儀」で即位を国内外に宣言される天皇陛下のお祝いとして皇居前広場で行われる式典でパフォーマンスをするアーティストに、嵐が参加。天皇皇后両陛下の見守る中、奉祝曲「Ray of Water」が披露された。同曲は菅野よう子が作曲。3部構成、約13分の組曲で、天皇陛下の長年の研究分野である「水」をテーマにしたものだ。嵐が歌ったのは「Journey to Harmony」。パフォーマンスの間に皇后雅子さまが涙を拭うシーンもあり、日本全国が感動に包まれた記念すべき1日となった。

 そして「Turning Up」に続き配信されたのは「A-RA-SHI : Reborn」。デビュー曲「A・RA・SHI」を新たに“Reborn”=リプロダクションしたものだ。リリックは櫻井翔が新しく書き下ろし、全体的に洗練された印象。原曲の良さを生かしながら各メンバーのソロを印象的に配し、現代的にアップデートされた仕上がりとなっている。新曲だけでなくすでにリリースされている楽曲もレコーディングしていたことに対しファンからは喜びと驚きの声が挙がっていた。

 『ARASHI Anniversary Tour 5×20』ラストとなった12月25日の東京ドーム公演では、最後の挨拶で大野智が「(活動休止)発表後の4月からのツアーは正直、不安でした。正直、正直、怖かったです」と言葉を詰まらせながら気持ちを伝え、「4人の支えがなかったら、ここまで来られなかったし、4人にも感謝しています。この決断は僕にとって、本当に命がけでしたし、みんなの想いもあるけど、ついてきてくれて今日まで本当にありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。

 櫻井翔は「もしかしたら速度についていけないと思う人がいるかもしれない。それでも俺は言う、“どうか、ついてきてほしい”」「どうにか同じ景色を見てもらいたい。まだ見ぬ世界へみんなと行きたいと思ってる。この4人とみんなとだから見たい景色がやまほどある。まずは未だ誰一人として見たことない景色のひとつ、来年の5月、新しい国立競技場で待ってます」と真摯な言葉で熱い気持ちを紡いだ。

 一方、二宮和也は「2020年の12月31日23時59分59秒、際の際までみんなと一秒でも長く楽しい思い出を作っていきたい」とし、相葉雅紀は「ペンライト、めちゃくちゃきれいだけど一番きれいなのはきみたちの笑顔だぞ!(中略) 活動休止と書いてパワーアップと読むと思っていますので絶対に戻って来たい」と嬉しい言葉で締めくくった。

 ライブの演出を手掛ける松本潤は「僕らが今チャレンジしていることは、みんなに一番に届けたくて、一番早く、一番近くに感じてもらうためにこの手法を選んでやってます。(中略)櫻井翔、相葉雅紀、大野智、二宮和也、僕、松本潤。この5人でみなさんに届けたい景色がまだあります。これからも僕らを信じてついてきてください」と熱い気持ちをストレートに伝えた。

『ARASHI’s Diary -Voyage-』予告編 - Netflix

 そして今年最後となる嵐からの大きなサプライズが12月31日にスタートする『ARASHI's Diary -Voyage-』(Netflix)。ショービジネスの世界を描いたドキュメンタリーで、デビューから20年、国民的アイドルである嵐のチャレンジに取り組む5人の素顔に迫った構成だという。果たして何が語られるのか。ドキュメンタリーの公開後は櫻井が司会を務め、嵐が大トリに決定した『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)が放送。番組中には「NHK2020ソング」として米津玄師が作詞作曲、嵐が歌唱するのコラボレーション曲「カイト」が初披露される。続いて毎年恒例の『ジャニーズカウントダウン2019-2020』フジテレビ系など大晦日は嵐一色の1日なりそうだ。また嵐の10周年から20周年までの10年間の軌跡をまとめた全10冊のライブ写真集『ARASHI at 5DOMES 2009-2019』がファンクラブ限定で発売されることも決定。さらに5月の新国立競技場でのライブなど話題は尽きそうにない。2020年も決してスピードを緩めることなく、風速を増す嵐に、ファンも全力で伴走し風を送り続けたい。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。

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