BTS、TWICEら筆頭にK-POPは“ブーム”で終わらない存在に 2019年日本国内の動向を各種チャートから振り返る

 安定期に入っている前述のベテラン勢を除き、売上・バズ共にTOP3であるBTS・TWICE・IZ*ONEに続く人気上昇を見せているのはSEVENTEENだが、TOP3のグループとの大きな違いは、レコード会社に所属しておらず、未だに地上波のゴールデンタイムの番組に出演していないという点だろう。しかし、女子高生の3人に1人が見ていると言われた『オオカミくん(オオカミちゃん)シリーズ』など10代に絶大な人気を誇るコンテンツを発信しているウェブTV・AbemaTVにオリジナル番組や韓国の看板バラエティなど、多くのコンテンツを供給しており、Abema視聴者が触れる機会も多いのではないだろうか。また、SEVENTEENといえば日本活動における楽曲制作スタンスやファンクラブ・ライブ運営においてもファンからの評判が良いことで知られている。来年度にはドームツアーも決定しており、メジャーなTV番組に出演しなくてもコンテンツ運営やウェブの活用次第でドームクラスの人気を得られるという大きな指針となったのではないだろうか。

 以上のように、現在の日本国内のK-POP市場での消費動向にはいくつかの階層が存在しており、単純な“ブーム”の一言では終わらない存在になっているようだ。第1次K-POPブーム当時のファンドムもある程度の規模で残っており(2011年のピークを過ぎても160億円市場はキープしていた:ORICON MUSIC)、サブカルチャーの一種として定着したところに「K-POP」文脈などに関係なく、特定のグループにのみ興味を持ったり、『PRODUCE 48』がきっかけで国内アイドルファンドムから流入してきたり、新たなファン層が流入した結果、規模が拡大しているようだ。特にウェブ上でのバズの大きな指針のひとつである、10代の間の認知度や人気は数年で飛躍的に伸びている。1995年生まれ以降の小中高生は学校のカリキュラムによってヒップホップ系のダンスも必修になった結果、授業でK-POPに触れる機会が増えたこと、また韓国風のファッションや“オルチャン”以降のヘアメイクといった第1次K-POPブームの時には見られなかった新たな流行も後押しになっているようだ。そして映画やドラマ(K-POPアイドルが俳優として出演する映画やドラマも多い)、韓国文学、デザインカルチャーなど多様な方向へ興味をつなぐハブ的な役割を担っていると言えるのではないだろうか。

 今年は日韓関係が微妙になった時期であり、また韓国内ではK-POPの海外認知度の上昇とは対照的に、各種スキャンダルや事件事故、特に『PRODUCE』シリーズを始めとする芸能サバイバル番組不正などの余波でK-POP=アイドル業界に対する不信感が高まった年となり、業界全体が盛り上がっているとは言いづらい1年になってしまった。その影響が少ないと思われていた日本でも『PRODUCE』関連のグループの活動に制限が出る自体にはなっているが、一方でベテラン組や中堅人気グループの単独ドーム公演やグループ内ユニットのワンマン公演など、韓国内ではまだ難しいことが日本では可能で成功している例もあり、その辺りの違いがよりはっきりとした年だったと言えるかもしれない。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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