ネクライトーキー、ズーカラデル、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、Novelbright…フェスでさらなる飛躍を予感させるバンドたち

 最後に紹介したいのは、Novelbright。2019年にSNSを中心に話題となり、多数のメディアでも取り上げられるようになった。今年の冬フェスにも多数出演が決定しており、来年以降も注目の的となることが想起される。バンドの大きな武器は、高音域を綺麗に響かせる竹中雄大のボーカル。実際、SNSで話題になった大きな要素は、澄み切ったボーカルの表現力や、メロディにあったように感じる。思えば、今年の音楽シーン全体においても、King GnuやOfficial髭男dismのような、印象的なメロディで存在感を示したバンドの躍進が顕著だった。もちろん、そこだけがウリではないのは百も承知だが、近年は“四つ打ち”や“シティポップ”という言葉がフェスやバンドシーンでのキーワードとなっていた。しかし、King GnuやOfficial髭男dism、あるいはあいみょんなどもそうだが、今、共通してフェスで存在感を示しているアーティストの特徴を並べるならば、メロディに共通点を見いだせる。平たい言葉でいえば、いわゆるJ-POP的なキャッチーさのあるメロディで、90年代のセンスを受け継ぎながら今風のサウンドで進化させたアーティストの存在が目立つ。もちろん、単にフェスの現場が“メロディ史上主義”になったという安易な話ではないが、フェスが乱立する中で色分けが顕著になったり、開催日ごとに出演するアーティストをジャンルで分けることが当たり前となってきた。そのため、特定の音楽を求めているリスナーはそのジャンルに特化したフェスに行くようになったことで、『COUNTDOWN JAPAN』のような多様なラインナップが集うフェスのメインステージに立つのは、メロディにおいて存在感を示すアーティストとなり、同時に、そういうアーティストを好む観客が増加したのではないか。そう考えると、Novelbrightが持つボーカルとメロディという武器こそが、2020年のメガフェスの空気ともっとも親和性があり、さらなる飛躍を遂げるのかもしれない。

Novelbright - Walking with you [Official Music Video]

 今や、音楽のジャンルや出演するバンドの方向性でフェスを語ることが困難になっている。結局のところ、自分を含めた“メディアが語る流行りの音楽話”は無視して、自分たちのやりたいことを貫いたバンドこそが、2020年のフェスでも存在感を示すのではないか。そんなことを思うのである。

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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