ザ・クロマニヨンズのライブから伝わる“生きる”ことへの希望ーー全国ツアー東京公演を振り返る

 「生きる」で天井が割れるかと感じるくらいの大合唱が響き出した時には、会場の温度が1、2度上がったような感じがした。〈ずっとここには 時間なんかなかった〉という歌詞からは、甲本が「今この瞬間を生きる」という考えを大切にしているのだろうということが伝わってきた。続く「どん底」では冒頭アカペラで〈どん底だから あがるだけ〉と、「雷雨決行」では〈引き返す訳にゃ行かないぜ 夢がオレたちを見張ってる〉と歌われ、彼らから生きる希望を思い切りもらった気持ちになった。「最高! 今日は最高!」と甲本が叫び、「ギリギリガガンガン」へ。甲本はステージの端までせりだし、下手から上手まで最前列の観客にハイタッチ。最後には笑顔でステージの真ん中に座りこんでいた。最後にアルバム最後の曲でもある「ロケッティア」を披露し、甲本はシェーのポーズをしながら、メンバーらはステージを後にした。

 鳴り止まない手拍子に応え、上半身裸になったメンバーが再登場。「あと何曲か、楽しんでやります」と、アンコールで「突撃ロック」などを披露。「楽しかった! またやらせてください! ロックンロール!」と言い残し、ステージを去った。

桐田勝治(Dr)

 ロックンローラーのイメージと言えば、派手で酒好きで奔放、といった感じもあるだろうか。けれど、このライブで印象的だったのは、ザ・クロマニヨンズのあたたかな包容力だった。甲本はライブの間中、とにかく客席をみていた。右から左、下から上、観客一人一人の表情を見て、時に微笑んだりする。手を目に当て双眼鏡のようにしたり、二階席を指さしたり、後ろの人にも視線を送る。満面の笑みで、人差し指を立てて甲本が歌うと全てを肯定してくれている気がする。このバンドがあるから、生きられる。彼らは「生きる」力をくれる。ザ・クロマニヨンズのパンクロックを聴くと涙が止まらなくなる、希有なバンドだと思う。是非この先のツアーを体感してみてほしい。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

ザ・クロマニヨンズ(THE CRO-MAGNONS)HP

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