10thアルバム『マラドーナ』インタビュー
韻踏合組合が“内情”を交えて語る、10作目で辿り着いた制作スタイルの変化 MVの秘話も
多彩な映像で伝える韻踏合組合の魅力とその裏側
——今回はアルバム発売前にミュージックビデオをたくさん出していることも特徴ですね。
SATUSSY:去年のHIDADDYの「FOOTWORK」も含めて5本出てますからね。今はYouTubeしか見てない人が多いから、そこにアプローチしていこうと。今後もシングルとMVを先に配信していって、作品が増えたらアルバムにしていこうかって考えてます。
——各MVの見どころを教えてください。まずは「マイクリレー」で、「実はこのシーンはもう一回よく見た方がいいよ」という部分はありますか?
ERONE:撮影日はメチャ暑かったんです。午前中からすげえ日差しがキツくて。なのに日焼け止めをみんな塗ってなくて。俺、最初のシーンでPUMAの細いヘアバンドを巻いてたんですけど、それを取ったら日焼けの線がパーンと入ってて。ロッカールームでの撮影が午後からあったんですけど、急遽帽子をかぶりましたね(笑)。ひょっとしてよーく見るとおでこに線が入ってるかもしれない(笑)。
——続いて「マラドーナ」。
SATUSSY:「マラドーナ」はカットされてるシーンがメッチャあるんです(笑)。
ERONE:メチャメチャ撮影は苛酷やったんです。監督のTAKESHI UCHIDAさんはすごくアツい人で、自分の制作スタジオごと動かしてくれて、照明、スタッフからドローンまで2日間総動員してくれたんですよ。
——撮影は1日じゃなかったんですね。
ERONE:丸2日間かけて、クソ暑い中で何シーンも撮って、もう本当にハードでした(笑)。エキストラの中にはおじいちゃんとかもいて、休憩も挟むんですけど、最後の方は監督さんの熱もどんどん上がっていてきて、「ちょっと気持ち入れていきたいんで。気持ち確かめたいんで」みたいな感じで撮ってくれてました。そのおかげで超いいものができたし、これこそ「#スポい」ですね。本当に汗の結晶。ただ、めっちゃ苦労したシーンが一瞬しか使われてなかったりするんです。
——どこですか?
ERONE:HIDADDYのパートで、大仏のマスクをかぶって頭を振ってるシーンがあるんです。真夏の海で撮ってて、エキストラの女の子がばっちりメイクして可愛くしてきてくれたんですけど、「これ(大仏のマスク)かぶってくれ」って言うて2時間くらい踊らされてるんです。でも使われたのは1カットっていう(笑)。だから、見どころはエキストラの熱ですね。今までの俺らのMVにない熱量。ハンパないです。
——ERONEさんのソロ曲「Upgrade」は、どのようなテーマで作った曲なんですか?
ERONE:ソロを作るときに「どんな曲を作ろう?」ってSATUSSYと話していて、俺はもうちょっと今っぽい曲を作ろうとしたんですけど、「いや、ERONEはひたすらラップが上手いことをもう1回証明した方がいい」って言ってもらって、そのあとワタさん(DJ WATARAI)がすごくいいトラックをくれました。
SATUSSY:今までのソロの作り方は、ビート選びも全部自由にやるっていう感じだったんですけど、今回はソロもみんなで話して作っていったんです。だからソロのクオリティも高くなっていると思います。
——「Upgrade」のMVの見どころは?
ERONE:見どころは、これがGhetto Hollywoodの、おそらく最後の作品になるであろうというところですね。とか言いつつ、まだ彼は続けるかもしれないですけど(笑)。「Upgrade」がIT用語なのでMVの世界観もそれに近づけたいと話していたんですが、最初全部「AKIRA」で返ってきて「これじゃ、AKIRAやんけ」って(笑)。「2020年だからAKIRA、当たり年だよ」とか言ってたんですけど徐々に仕上げていってこの形になりました。
——遊戯さんもソロ曲「WINE 4 ME」のMVを発表しています。
遊戯:見どころは、とにかく(出演している)女の子が可愛くて飽きないので、それをずっと見てもらいたいです。
——本屋というシチュエーションも面白かったです。
遊戯:もともとあまり人が多く出てこない映像にしたいと思っていたので、僕と女の子しか出てこないシチュエーションにしたんです。曲自体、ちょっとお洒落な感じで書きたいなと思ったのでSATUSSYくんといろいろ相談しながら、サビとかもこんな感じにしようか? って詰めていったんです。
SATUSSY:モテたいという内情をね(笑)。
遊戯:そう。まだまだモテたい。ワイニーしたいなっていうね。内情です(笑)。
——「Freeway」は、SATUSSYさんと遊戯さんのコンビネーション曲ですね。
SATUSSY:これはPMXさんが作ってくれたのが熱かったですね。最初は全員で歌おうと話してたんですけど、この曲は僕が歌詞を書いてみて遊戯と歌うのハマるなと思いました。今後PMXさんとはもうちょっと違うテイストの曲も作ってぜひクラシックを生みたいですね。
——改めて、今回のアルバムの仕上がりに対するそれぞれの印象をお願いします。
SATUSSY:韻踏をずっと聞いてくれてる友達とか知り合いに意見を聞くと2ndアルバム『Clitical 11』に近いと言われたんです。あれこれ考えずにただ自分たちがかっこいいと思ってるものをMAXにつくりこんで、ムチャクチャなんだけど良いっていうところがアルバムの色的に近いと言われるんです。アルバムを作ってると、いいこと言おうとか、落とし系の曲を入れようとか何やかんや考えがちなんですけど、「そういうのは一切関係ない」「イケてる曲のみ」「もう狂ってる」。そういう良さが出てるんじゃないかと思います。
HIDADDY:いい意味でアホさが出てるなと思いますね。
遊戯:でも、そこでちょっと格好付けるんやっていう曲もあるし。
ERONE:やっぱり頭からアルバムとして作ってないからですかね。1曲1曲のベクトルが違うということが良い方に作用したなって思います。
——ラスト曲の「Spotlight」は、実際のライブの歓声まで入れたライブチューンですからね。まさにノリ重視。
遊戯:でも最近ライブやっててしんどいんですよ。
HIDADDY:スポいからね(笑)。
遊戯:だから、『マラドーナ』はメチャメチャしんどいアルバムになりました。
ERONE:『REAL GOLD』のときは「LAST MEAL~最後の晩餐」とか「SUPERMARKET」とか「胃袋でパーティー」とか、食べ物の歌が多いんです。あのときはみんな腹が減ってた(笑)。
遊戯:で、食い過ぎて太りすぎて、そろそろ運動しようや、みたいな。みんなで運動不足を解消しようというアルバムですね、『マラドーナ』は(笑)。
——来年で韻踏合組合のデビュー20周年になります。10周年のときは元メンバーも集合してアルバム『都市伝説』を作りましたが、次はどのようなことをしたいと考えていますか?
HIDADDY:そろそろ2代目出しますか(笑)。
SATUSSY:それかメンバーを増やすか……(笑)。
HIDADDY:あとはソロを出したいですね。
ERONE:あはは。グループの20周年で何をしたいんですか? って言われてソロを出したいって(笑)。
遊戯:話を聞いてないんか? それこそ実費でやってくれ(笑)。
ERONE:アルバムになるかわからないけど、作品はずっと出していくんで、20周年関連の作品は出ると思います。
SATUSSY:そやな。リリースは間違いなくあるやろうし、あとは東京で大きいイベントを開催したいと考えてます。なにかしら動きはあるんで楽しみにしておいてください。
(取材・文=猪又孝/写真=西村満)
■リリース情報
韻踏合組合10thアルバム『マラドーナ』
発売:11月13日(水)
価格:¥1,833(税込)
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収録曲:
01.マラドーナ
02.マイクリレー
03.Champ Road feat. LINDA (noTOKYO)
04.イカれてる イっちゃってる 異ノーマル feat. NIPPS, 漢, Moment Joon
05.Footwork
06.Upgrade
07.Freeway
08.All Stars
09.Wine 4 Me
10.Spotlight