『Roclassick tour 2019』
BIGMAMA、“Roclassick”シリーズの楽曲が生むライブならではの熱狂 ツアーファイナルを見て
というわけでハイライト満載のライブだったが、ラストに演奏された新曲「誰が為のレクイエム」の衝撃が全てを掻っ攫っていった。ブロックごとに大胆にカラーを変えるこの曲は、言うなればBIGMAMA流のロックオペラ。“Roclassick”シリーズ、そして8枚のオリジナルアルバムを通じて提示された、ジャンルの垣根を壊し続けるバンドの在り方が、ここに結集しているような手応えさえあった。この曲を聴いて真っ先に思ったのが、このバンド、いよいよ誰も追ってこられない領域に踏み入れつつあるな、ということ。真似したくなるどころか、こんなの容易く真似できないと、畏怖を覚えるレベルだ。
2010年、『Roclassick』を作り上げ、自分たちのオリジナリティを確立させるに至った彼らは、その後、「秘密」という金字塔的名曲を打ち立てた。2014年、『Roclassick2』の幅広いアプローチで4年間での音楽的成長を見せた彼らは、6thアルバム『The Vanishing Bride』でさらに自由度の高い表現へ向かっていった。そして「誰が為のレクイエム」が収録される『Roclassick ~the Last~』で以って“Roclassick”シリーズは完結を迎える。
その完結はいったい何を意味するのか。『Roclassick ~the Last~』はどのような作品になるのか。そして(少々気が早いが)同作のリリース後、バンドはどのような道へ進んでいくのか。引き続き見守りたい。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。
(写真=高田梓)