「バケモノ」リリースインタビュー
DEZERTが「バケモノ」で向き合った“劣等感”「自分の愚かな部分をちゃんと見つめようと思った」
「自分の嫌いなところを探さないと前に進めない」（千秋）
――4人共通の意識の変化があり、それがこの「バケモノ」という曲に繋がってると。
千秋：アルバムもいいっすよ。まだ全然出来てないけど（笑）。
――ホールツアーもそうでしたけど、歌に対する意識が高い曲で。このボーカリストはメロディをちゃんと唄いたいんだなっていう。
千秋：技術がないけどね。もっと上手くなりたいって思う。
――唄いたいことが増えたからそう思うんですよ。「こういう表現がしたい」とか。
千秋：そうですね、うん。だからもっと上手くなりたい。
――あとは歌詞。資料にも「バケモノ＝劣等感」と書いてありますが、ここまで自分のことをわかりやすく明確に唄ってるのも初めてなのでは？
千秋：そうですね。俺、ずっと自分に違和感があったんですよ。それは思い込みというか憧れというか、そういうものを抱えながらバンドなんてやってるもんだから、それと今の自分を比べてしまう。で、そこには違和感がたっぷりあって。それは『TODAY』を出しても同じだったし、もちろん昔の曲にもそう。で、それって実は違和感じゃなくて劣等感なんですよ。そんなこと自分でずいぶん前から気づいてたけど、プライドもあるしカッコつけたいから言いたくない。でも、俺、そろそろハッキリさせようと思って。劣等感の塊であること、それに気づいて欲しい気持ちがどこかにあるってことを。
――そもそも自分のことが嫌いですし。
千秋：はい。でも、そういう自分をもっとよく知ろうと思って、『TODAY』を出してからこの1年間、ずっとそこと向き合って。そしたら唄い方も声も何もかも、変わって。
――確かに「バケモノ」は今までと唄い方が違います。自分の声に素直というか。
千秋：結局今までは誰かの真似をしてたんですよ。自分の声が嫌いだったから。でも俺はこの声で生きていくしかないし、顔は整形すればなんぼでも変われるけど、本質は変わらない。だったらそういう自分の愚かな部分をちゃんと見つめようと思って。
――『TODAY』でもそういう自分と向き合ってたじゃないですか。
千秋：それをもっと客観的に見て、ハッキリ言えるようになったのが「バケモノ」で。だから言葉のチョイスも楽でした。
――この歌詞を見て、千秋くんが少し大人になったと思いました。
千秋：まぁまぁいい歳ですけどね（笑）。でもこういうことが言えたのは、自分的には嬉しいですよ。
――『TODAY』は自分的には嫌いな歌ばっかりだったって言ってたじゃないですか。でもそれを歌にして唄った先に何かあるんじゃないかと思ったからそうしたわけで。
千秋：そうですね。
――で、この1年でそんな自分を客観的に見られるようになったと。
千秋：なったし、俺の中で昔ながらのロックバンド像っていうものはもうなくなった。ロックバンドっていうのは才能のある人が好き勝手やって、酒もタバコも女も……みたいなのに憧れてたけど、自分は全然違うから。こんな自分の嫌いなところ、普通のサラリーマンやってたら見なくてすんだんですよ。でもバンドをやってると自分の嫌いなところを探さないと前に進めないんで。それをすごく思うアルバムになってると思います。
――この歌詞については、3人は何か彼に対して思うところはあります？
SORA：「バケモノ」ですか？ そうっすね……あぁ、そういえば、みんなでジャケットのアイデア出しをした時、俺だけ絵を描けないんで曲を聴いた感想を紙に書いたんですけど……。
――見せてください。「周りと何か比べて安心したり焦ったりして勝手に上がり下がりしてるただの人です。こんなただの人に誰か何かをくれますか、いやあげません」。
SORA：恥ずかしいんで、読むのやめてください（笑）。
――っていうようなことを、千秋くんは自ら歌詞にしてるんですよ。
SORA：ですよね。だからすごい大事なことを唄ってるなって思いました。
千秋：なんか俺、自分よりカッコよくて人気がある人を見るとムカつくんですよ。でも自分より“イケメン”って言われてるのに自分らより人気なかったり売れてない人を見ると、めっちゃホッとするんですよ。それってヤバくないですか？（笑）。
――器が小さいですね（笑）。
千秋：そう！ 俺、ちっちゃいってことを理解したんですよ。
――でもそんなちっちゃいヤツが必死に唄うからいいんですよ、DEZERTは。小さいことを隠さない。弱いところを隠そうとしても隠せない。そのくせ愛されたい、優しくされたいって思ってる。それは「バケモノ」にも強く出てると思います。
千秋：「ちっちゃいからいい」って言われても嬉しくないんですけど、でもそれをどこまで受け入れて、そういう自分と上手く付き合っていくか。それってバンドも含めたチームワーク全体の話でもありますよね。
――他の2人はどうですか？ まだアルバムのレコーディング中ということですが、そんな彼の器の小ささに、これからも付き合っていく覚悟はできているんでしょうか？
Miyako：小さい……のかな？（笑）。
Sacchan：まぁ……彼に対して思うところがあると、レコーディングがしんどくなっていくんで。そこに関してはアルバムが出来てから色々と思うことにします。
千秋：上手く逃げたな！（笑）。
――最後に、どんなアルバムになりそうですか？
千秋：超いいっすよ。もちろんまだ自分のことは嫌いですけど。前にやった『千秋を救うツアー』で、「ライブを観に来てる俺みたいなヤツを救うために」みたいなこと言ってたと思うけど、あれをようやくちゃんと形に出来るような気がする。『TODAY』は違ってたんですよ。不特定多数というか、普通の人間に対して、いろんな人のために唄おう、みたいな感じだった。だから俺の中ではこのアルバムで前に進んだというより後ろに下がった感じもあって、だから『TODAY』の先は“TOMMOROW”じゃなかった。曲はすごくキャッチーだけど、明日に行くにはまだ早い。けど、ここには嘘もないし偽りもない。今の俺らのライブがそうであるように、何かを目指したり何かになろうとはしてないから。
――それでいいと思います。
千秋：ただ、目標を持たずに頑張る、という状態でモチベーションを保つことは大変で。特に俺以外のメンバーは。でも今のところ1人も折れてない。だからみんな頭いいっていうか、すごいなって思います。
■リリース情報
配信Single
「バケモノ」
2019年10月2日（水）Release
New Album『black hole』
2019年11月27日（水）Release
初回生産限定盤＜2CD+1DVD+92Pブックレット /デジパック仕様＞
9000円（税別）
・2019年8月24日池袋BlackHole公演 LIVE DVD&CD収録
・「DEZERT 2020 LIVE / 天使の前頭葉」チケット最速先行コード封入
通常盤＜CD ONLY＞
3000円（税別）
・「DEZERT 2020 LIVE / 天使の前頭葉」チケット最速先行コード封入
＜収録曲＞
1 Dark In Black Hole
2 バケモノ
3 Thirsty?
4 みぎて
5 白痴
6 Call of Rescue
7 半透明を食べる。
8 御法度
9 神経と重力
10 天使の前頭葉
11 ラプソディ・イン・マイ・ヘッド
12 感染少女
13 True Man
14 I'm sorry
■ライブ情報
『音楽と人LIVE 2019 ストレンジャー イン トーキョー ～DEZERT 異種格闘3番勝負!～ ROUND2』
2019年11月7日（木）青山 RiZM
【出演】DEZERT/minus(-)
『くるくるまわる-2019-』
2019年12月23日（月）渋谷 CLUB QUATTRO
『MUCC Presents Trigger In The Box supported by MAVERICK DC GROUP』
2019年12月28日（土）国立代々木競技場第一体育館
【出演】MUCC / シド / HYDE / D’ERLANGER / OLDCODEX / DEZERT and more...
『DEZERT 2020 LIVE / 天使の前頭葉』
2020年2月22日（土）池袋 BlackHole
2020年2月23日（日）池袋 BlackHole
2020年2月25日（火）池袋 BlackHole
2020年2月26日（水）池袋 BlackHole
2020年2月29日（土）池袋 BlackHole
2020年3月1日（日）池袋 BlackHole
2020年3月2日（月）池袋 BlackHole
