“攻撃型”の鈴本美愉と“自在型”の小林由依 欅坂46のパフォーマンス支える対照的な二人の魅力
9月28日に開催された『Rakuten GirlsAward 2019 AUTUMN/WINTER』に欅坂46がライブ出演した。
今年で20回目を迎える同イベントは、これまで「渋谷からアジアへ。そして世界へ。」をスローガンに、2010年から年2回にわたって開催されてきた日本最大級のファッション&音楽イベント。今回は人気モデル総勢130名に加え、乃木坂46やアンジュルムを始めとする豪華アーティスト陣が会場を盛り上げた。開催地は幕張メッセ国際展示場。欅坂46はそこで「OVERTURE」を皮切りに「アンビバレント」「風に吹かれても」「危なっかしい計画」の3曲を披露した。今回、平手友梨奈は欠席。そのため各曲には代理センターが立てられた。「アンビバレント」では鈴本美愉が、「風に吹かれても」では小林由依がそれぞれセンターに立ち、グループとしての層の厚さをアピール。現地は彼女たちのパフォーマンスで大盛況だったという。そこで今回は、センターを担当した2人のパフォーマンスの魅力について考えてみたい。
鈴本は欅坂46の中でも切ってのダンスメンバーとして知られる存在。もともとダンス経験があり、デビュー前のイベント「おもてなし会」ではダンス部として出演するなど、活動初期からダンス面で存在感を表していた。身長は156cmとグループの中では低い方ながらも、体を大きく使ったダイナミックな動きで見る者を魅了する。
彼女のダンススキルの高さを確認できる最も良い例が、「二人セゾン」でスカートの裏地を一瞬だけ見せる振り(通称”マタドール”)である。サビの〈日常を輝かせる〉の〈せ〉あたりで左足を軸にジャンプする際、横切る右腕の残像がまるで色づいたかのように真っ赤に変化するこの粋なアイデアは、そもそも鈴本発信で始まったことが明らかにされている(参考:守屋茜公式ブログ)。他のメンバーも重点的に練習しているものの、彼女の裏地の広がり方の美しさに匹敵するメンバーは今でも少ない。
そんな鈴本が初めて大役を任されたのが、2018年の4月に開催された『2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』において「サイレントマジョリティー」のセンターを務めた時のことである。言うまでもなくグループにとって一番の代表曲であり、さらに絶対的センターと言われる平手のポジションを任された鈴本だが、のし掛かるプレッシャーを見事はねのけ、蓋を開ければ「平手の代わりになるのは鈴本しかいない」といった声も聞こえてくるほどの評判であった。
彼女のダンスの特徴をひと言で表すなら「攻撃型」だ。鋭い眼力から発せられるオーラには観客の心を撃ち抜くパワフルさがある。そして、ステージ全体を「鈴本色」に染め上げるような力もある。曲を跨いでも表現するキャラクターに一貫性があり、ライブ全体のストーリーを編む力を感じ取れる。その意味では平手に近いタイプだが、彼女から感じる不器用なまでの愚直さや真っ直ぐさといった部分は鈴本ならではの魅力だ。「アンビバレント」での彼女は、さながらダンスの化身のごとく踊りに集中する様子が印象的。今回のイベントでの抜擢も納得の人選だ。