THE CHARM PARK、kiki vivi lily、秋山黄色……12回目のSpotifyイベントをレポート

『Spotify Early Noise Night #12』レポ

 4番手に登場したのはkiki vivi lily。ブラックミュージックを下地にし、ポップス〜ヒップホップのフィールドを自由に横断する女性シンガーである。彼女がステージに登場すると、出演を待ちわびていた観客たちが歓喜の声をあげて、最初からボルテージはマックスに。というのも、MCにもあったのだが、実は彼女は大阪でのライブは今回が初めてなのだそうだ。ようやく大阪の観客の前でライブができる喜びを爆発させるようかのように、MCにはほとんど尺を取らず、駆け抜けるように6曲を披露(ちなみにこの日の出演アーティストの中では、一番の楽曲数)。グルーヴィーなサウンドが、とにかくミラーボールのあるMusic Club JANUSに映えたkiki vivi lilyのステージ。「Rainbow Town」や「カフェイン中毒」などの代表曲を惜しみなく披露したこの一夜に、彼女のライブを待ちわびていたファンも大満足の様子だった。

kiki vivi lily

 5番手として登場したのは、Omoinotake。ライブハウスのみならず、渋谷のスクランブル交差点を中心とした、都内での路上ライブでも研鑽してきたこのバンドがここにきて満を持しての登場。ピアノの音を取り入れた極上のポップスバンドであり、思わず口ずさんでしまうようなキャッチーな楽曲を次々に披露する。現場で腕を磨いてきたバンドならではの息のあったプレイで、リズミカルに、流れるように楽曲を披露していく。また、この日はサポートとしてサックスを加えた体制でプレイしていたため、曲中のよりキャッチーな部分が際立っており、表情豊かな楽曲が輝くように披露された。特に最後の「Never Let You Go 」では、この日一番の大きなシンガロングを巻き起こす。ライブバンドならではのパフォーマンスは文字通り圧巻であった。

Omoinotake

 そして、最後に登場したのは、THE CHARM PARK。ASIAN KUNG-FU GENERATION、V6、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEをはじめ、数々のアーティストへの楽曲提供でもすでに注目を集めているTHE CHARM PARK。イベント開始から3時間半以上が経過しているにも関わらず、登場するやいなや、この日一番の熱狂を集める。終始、リラックスしたムードと飄々としたMCでライブを進めていくTHE CHARM PARKだったが、「Don’t Stop」ではコールアンドレスポンスを披露して、会場全体に一体感を生み出す。最後のMCでは「最初から最後までがんばったアーティストのみなさんに、もう一度大きな拍手をお願いします」と、イベント全体の成功を祝福するような空気を生み出し、トリに相応しいステージングを披露した。そして、この日の最後を飾ったのは「Imperfection」。MCでは「金曜日だから早くお酒が飲みたい」とユーモアを交えながら話していた彼であるが、ライブが始まると表情を一変させ、攻撃的な歌声と荒々しいギターで会場を盛り上げ、その場にいた全員を夢中にさせてしまうパフォーマンスを披露した。

THE CHARM PARK

 毛色も見せ場もそれぞれ異なるアーティストが集結した今回の『Spotify Early Noise Night #12』。イベントの全てがハイライトであり、短い時間ながら、どのアーティストも素晴らしいパフォーマンスだった。そしておそらく、過去の『Spotify Early Noise Night』と同様に、この日に出演したアーティストからも次の日本の音楽シーンの中核を担う存在が生まれることを予感した。何より、Spotifyというツールが、新しいアーティストとリスナーとの出会いを繋ぐ架け橋となっていること、音楽の可能性が広がっていることを改めて実感した一夜となったのだった。

(ライブ写真=松本いづみ)

■ロッキン・ライフの中の人
大阪生まれ大阪育ち。ペンネームにあるのは自身が運営するブログ名から。人情派音楽アカウントと標榜しながら、音楽メディアやTwitterなどで音楽テキストを載せてます。

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