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2019年、韓国のビッグドレンド“Newtro” 流行に至った経緯とK-POPに与える影響

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韓国で流行中の新概念「Newtro」

 「Newtro(ニュートロ)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

 Newtroとは、「現在あるいは未来(New)」と「過去(Retro)」を融合させた「新しい過去」を意味する韓国の新造語である。2018年の半ば頃から使われ始めたこの言葉は、今や韓国国内での一大マーケティングトレンドにまで発展している。

 例えば、日本でも名の知れた韓国焼酎「眞露(ジンロ)」。若者向けに商品リニューアルを行うに当たり、懐かしのボトルをNewtro的視点で再解釈したパッケージデザインが採用された。

 また、これまで「古臭い」「高齢者向け」というイメージがあったソウル・江北地区も、現在では「Newtroの聖地」としてトレンドに敏感な若者たちが通う街へと変容しつつある。

 このブームを牽引しているのは、ミレニアル世代以降の10〜30代である。呼吸をするようにインターネットを使いこなす彼らにとって、デジタルデバイスが普及する以前の「アナログ」な生活と文化は、新鮮で魅力的に見えるのだ。また、過去の文化のリバイバルと郷愁に留まらず、新しい感性をもって再解釈・再生産するところまでを包括した概念である点において、Newtroは「レトロ」とも一線を画している。

Newtroブームはどこからやってきたのか

 韓国でNewtroが一般化するよりも前から、それと近しいムードが蔓延していた場所がある。インターネット上の音楽コミュニティだ。

 2010年代初頭に登場したVaporwave、そしてそこから派生したFuture Funkというジャンルでは、80年代頃に発表された楽曲や、90年代のアニメーション映像がサンプリングとして多用される傾向が強い。とりわけFuture Funkにおいては日本の昭和歌謡のサンプリングリミックスが活発に行われ、これが昨今の世界的なシティポップブームに繋がったとも言われている。

 そして、そのFuture Funkの盛り上がりに大きく貢献した人物の一人として、韓国人DJ兼プロデューサー・Night Tempoが挙げられる。

Takeuchi Mariya – Plastic Love (Night Tempo 100% Pure Remastered)
Night Tempo『Wink – Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ』

 日本産シティポップのマニアとして有名な彼のアートワークには、『美少女戦士セーラームーン』などのアニメ的モチーフがしばしば用いられている。彼は今年8月に行われた『フジロックフェスティバル』でも『セーラームーン』のオープニング主題歌「ムーンライト伝説」のリミックスを披露しており、それをきっかけにNight Tempoの名を知った音楽ファンも少なくないだろう。

 彼がアニメ的アートワークを用いながらインターネット上に楽曲を発表し始めたころ、奇しくも韓国国内で「90年代の少女向けアニメ」の再評価が進み始めていた。

 1998年より以前の韓国では日本文化が厳しく規制されていたと言われているが、90年代前〜中盤に制作された一部の日本産アニメは日本での放映とほぼ同時期に吹き替え放送が行われており、20〜30代の韓国人にとっても「思い出の作品」として記憶されている。それらの作品を懐かしむ風潮は、当初こそ「レトロブーム」の位置付けにあったのだが、ファンたちの熱狂が高まるにつれて商業的な取り扱い規模が拡大。2016年になると、韓国の若者カルチャーのメッカとも言える学生街・弘大には少女向けレトロアニメグッズの専門店が登場し、人気コスメブランド・Etude Houseは『愛天使伝説ウェディングピーチ』とのコラボレーション商品を発表した。

 その時流に併せて、放映当時はまだ生まれてすらいなかった10代の若者たちまでもが、当時のコンテンツを積極的に消費・再生産する動きを見せ始めた。誰かにとって「懐かしい」コンテンツを、自分たちにとっては「新しい」コンテンツとして楽しむようになったのだ。

 あの時、文化的感度の高かった若者たちの間でぼんやりと醸成されていた「古きを新しきとして楽しむ」ムードが、後に発生する爆発的なNewtroブームの基盤になったと言っても過言ではないかもしれない。

      

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