東京湾舞台にした新感覚エンターテインメント 花火×音楽×ショー『STAR ISLAND 2019』レポ
『STAR ISLAND 2019』が7月20日、豊洲ぐるり公園にて開催された。『STAR ISLAND』は、クリエイティブディレクター・小橋賢児、総括プロデュース・坂本茂義、総合演出・潤間大仁と花火師(丸玉屋小勝煙火店、紅屋青木煙火店、マルゴー)がタッグを組み、日本の伝統花火と最先端テクノロジー「3Dサウンド」「ライティング」「ショーパフォーマンス」を融合したエンターテインメントショー。3年目を迎え、東京での開催は3回目となる今年は、会場を豊洲ぐるり公園に移して行われた。
野外イベントになかなか足の向かない人の中には、長時間を過ごす場所の環境面が気になる人もいるかもしれない。ここ豊洲ぐるり公園はもともと整備が行き届いた綺麗な施設で、豊洲埠頭にある公園ともあり、周囲が一面東京湾に囲まれた開放的なロケーションだ。観覧エリアには椅子またはシートが敷かれていて足場は舗装されている。当日は雨がちらつく場面があったものの快適に過ごすことができた。ショーが始まるまでの時間、場内の至るところに無尽に設置されたスピーカーからは、低音の効いた臨場感あるサウンドが絶え間なく聞こえてくる。LICAXXX、NAOKI SERIZAWA、SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)がDJセットでつなぎ、海上パーティーのような非日常のムードが作り出されていた。また、場内には子供達が遊べるキッズエリアを設置、パフォーマンスクリエイトカンパニー・ICHIZAによるジャンピングスティルト、ジャグリング、ラート、アクロバットなどによるホスピタリティパフォーマンス、オーケストラバンドの生演奏が行われるなど、参加者が思い思いに過ごすことができるようにもなっていた。
『STAR ISLAND 2019』が掲げたテーマは「2019:A SPACE ODYSSEY」。アポロ11号が人類初となる月面着陸を成功させた歴史的な日である7月20日に50年前と同じように空を眺めて心を躍らせ、宇宙への航海をしているような興奮を体感してほしいという思いが込められているのだという。STAR ISLANDという船に乗り、最終目的地・未来を目指す。“想像を創造に変えることができる場所”というのもコンセプトだったようだ。
会場内にはブロックごとにステージが設置され、リアルタイムで同じ内容のパフォーマンスが行われる。幽玄な雰囲気の中始まったショーでは、あらゆるパフォーマンスを交えながら時空を超えた世界観を演出。フェアリージャパンで活躍していた元オリンピック代表選手による新体操や世界大会でのタイトル実績を持つライダーによるBMX、雷炎舞集団・かぐづち-KAGUZUCHI-によるファイヤーパフォーマンス、世界で活躍する男性・女性ポールダンサーによる美しいペアダンス、ストリートやコンテポラリーなどのダンサー……全7種100名を超えるパフォーマーが登場。また、avex artist academyオーディションで勝ち抜いた8名の若手ダンサーも加わり、華々しいステージを展開した。熱が伝わるほど火力の強い火柱や色彩豊かなライティングも迫力十分。さらに、LEDスーツを着用し空を自在に飛び交うTEAM TeeDee、日本初のLEDカイトなどが水上でのパフォーマンスを盛り上げた。
そして、それらのパフォーマンスのバックに打ち上がるのが、サウンドとリンクした豪華絢爛な花火だ。東京湾の船上、客席から200m先という近距離から打ち上げられ、臨場感溢れるものに。この日打ち上げられたのは1万2千発。ショーのストーリーと連動するかのように咲き誇る花火は音楽やビートとシンクロし、東京湾一面を使ったエンターテインメントショーを繰り広げた。まさに、参加者の五感を刺激して感動体験を提供する“感覚拡張型エンターテインメント”というコンセプトにふさわしい贅沢なひとときだった。
『STAR ISLAND』はシンガポールのカウントダウンイベントで2020年末まで3年連続開催、サウジアラビアでは建国記念日である今年9月23日に開催する基本合意が行われるなど、海外展開にも注力していくという。日本を代表するエンターテインメントコンテンツとして、今後ますますの発展と盛り上がりを見せていきそうだ。
(取材・文=久蔵千恵/写真=©STAR ISLAND)