乃木坂46の強さはメンバーのグループ愛にある? 久保史緒里らファンに並ぶ“乃木坂マニア”の存在感

 今年5月にグループを卒業した2期生の伊藤かりんは、乃木坂46オタクというポジションにおいては先駆け的な存在であったが、グループが成熟した後に憧れて加入してきた3期生以降は、もともとファンだったというメンバーが多い。『EX大衆 2019年8月号』では、「乃木坂イチの乃木坂ヲタク対談」として、久保と向井葉月が乃木坂46愛を語っている。向井は星野みなみ推しとして知られており、ファンとして訪れた明治神宮野球場でのライブでは星野のサインボールをゲットしている。『乃木坂46時間TV』での企画「星野みなみの10分クッキング」では、星野に呼ばれスキップでスタジオに向かう姿が話題となった。今年1月の『のぎおび⊿』では「自分が好きだった乃木坂のメンバーになれていない気がしてる」とファンからメンバーになった故のジレンマを告白していた。

 4期生になると3期生よりさらに先輩への憧れの眼差しは強くなっていくが、その中で一際輝きを放つのが矢久保美緒だ。『乃木坂工事中』恒例のPR大作戦では、ペンライト2本を持ってオタクモード全開で登場。「おいでシャンプー」のコール「ナカダカナシカ」、からあげ姉妹による「無表情」のコールをそれぞれ披露し、ファンから一気に認知されるきっかけとなった。久保の冠番組に出演した際には、よりオタク色の強い配信に。横浜アリーナで開催された『乃木坂46 23rdシングル「Sing Out!」発売記念 ~4期生ライブ~』では、「おいでシャンプー」で「ヤクボミオシカ」コールが行われるなど、オタクキャラをしっかり自分のものにしている。

 とは言え、久保や向井、矢久保だけがグループ愛の強いメンバーというわけでもない。現在公開中のドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』を観れば分かるように、メンバー一人ひとりがそれぞれの形で乃木坂46を愛している。インタビュー(乃木坂46 齋藤飛鳥×与田祐希に聞く、ドキュメンタリーの舞台裏「変化がマイナスだとは思ってない」)の中で、齋藤飛鳥は「後輩も乃木坂46そのものをみんな愛してくれていて。先輩が引っ張るというよりも、各々が乃木坂46のために自発的に努力をしています」と語っており、8年目に突入したグループの歴史を感じさせる。これはアイドルに限らずだが、ファンでいることに恥ずかしくなってしまったら、そのグループは衰退の一途を辿っていくという考え方がある。4期生の躍進の一方で、キャプテン・桜井玲香の卒業発表と常に変化を続ける乃木坂46。客席から、画面の向こうからメンバーを熱い眼差しで見つめる未来の乃木坂46が在り続ける限り、グループの歩みは止まらないだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

関連記事