小野島大の新譜キュレーション

プラッド、アンソニー・ネイプルズ、マトモス……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜12選

ハーモニアス・セロニアス『Petrolia』

 90年代後半から<Ata Tak><Mille Plateaux>などの先鋭レーベルでリリースを重ねてきたドイツの鬼才ステファン・シュワンダーの別名義ハーモニアス・セロニアス(Harmonious Thelonious)は、今年になって12インチシングルやミニアルバムを立て続けにリリース。『Petrolia』(Marmo Music)は、12インチシングルながら6曲入り27分の長尺です。アフロトライバルなビートとインド音楽や中近東音楽にも通じるサイケデリックでヒプノティックな上モノが融合したレフトフィールドなミニマルハウス。Ata Tak出身らしい、ねじ曲がったノイエ・ドイチェ・ヴェレ感もご機嫌です。

Harmonious Thelonious - Petrolia

プレフューズ73『Fudge Beats』

 ギレルモ・スコット・ヘレンのユニット・プレフューズ73(Prefuse 73)の新作『Fudge Beats』(Lex Records)。15曲も入っているのに収録時間は41分。ワンアイデアを発展させたような短く簡潔なトラック揃いですが、全曲のタイトルに「Beat」という言葉が入るように、才気漲る多彩なビートメイクが聞き物。音が転がっていくような軽快な曲調、キュートな音色と、プレフューズらしさが全開の一作です。キラキラしたシンセの音色が印象的な「Japanese Mall Beat」という曲もあり。

Prefuse 73 Fudge Beats

マトモス『Plastic Anniversary』

 米ボルチモアの鬼才デュオ、マトモス(Matmos)の11枚目のアルバム『Plastic Anniversary』(Thrill Jocky)。毎回新しいアイデアや奇抜な試みを忘れない人たちですが、今回はタイトル通り、すべて「プラスティック」から生成された音を元に制作されたとのこと。そこには環境問題へのメッセージも込められているわけですが、そう言いながらも頭でっかちな実験音楽や観念音楽にならず、愛嬌やユーモアを忘れず、無類のポップさとある種のキュートさがいつも感じられるのが彼らの良さ。もうかなり長いキャリアがたつのに、過去の自分たちのなぞりに陥らないのが素晴らしい。 

Matmos - Thermoplastic Riot Shield (Official Music Video)

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