中村倫也、木下晴香、山寺宏一……映画『アラジン』吹替版を支える優れた歌唱力に注目

中村倫也ら、『アラジン』吹替版支える歌唱力

 さらに『アラジン』を掘り下げたとき、忘れてはならないのが、山寺宏一の力だ。過去にも、ディズニー長編アニメーションで数多のキャラクターの声を担当している。長編アニメーション版『アラジン』のジーニーをはじめ、『美女と野獣』の野獣、ドナルドダック、『リトル・マーメイド』のセバスチャンなど、その役柄はディズニー作品だけでも10以上に及ぶ。そんな山寺は、本作で「アラビアン・ナイト」の歌唱を披露するシーンがある。長編アニメーション版では、行商人のペドラーが歌っているこの楽曲を実写版ではジーニー役の山寺が担当した。実は、この行商人のペドラーは、ジーニーが姿を変えているという説があり、よく見るとペドラーの指はジーニーと同じ4本、そして海外版ではジーニーの声優を務めたロビン・ウィリアムズがペドラーの声も担当している。この一説はすでにジョン・マスカー監督とロン・クレメンツ監督が真実だと明かしており、こういった経緯が影響して、今回の「アラビアン・ナイト」の歌唱に山寺が抜擢されたのではないかと推測できる。「アラビアン・ナイト」での山寺の声は重厚感があり、ストーリーテラーさながらの風合いがある。物語の幕開けにふさわしい歌唱と言えるはずだ。さらに「フレンド・ライク・ミー」では、得意の様々な声色と底抜けに明るいテンションが、存分に発揮されている。数多の声を持つ山寺だからこそ、この表現力を成し得ることができたのだろう。顕著に実力が現れるシーンとなった。

 『アラジン』の人気は衰えを知らず、公開3週目に突入してもなお、連日テレビや街中で楽曲が流れ、盛り上がりを見せている。本日6月21日には、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で、中村と木下が「ホール・ニュー・ワールド」を披露。劇場で楽しんだミュージカル『アラジン』の世界をテレビでも堪能することができる。束の間の“魔法の絨毯の旅”をぜひ楽しんでほしい。

「アラジン」♪『ホール・ニュー・ワールド』プレミアム吹替版MV 60秒

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

■公開情報
『アラジン』
全国公開中
監督:ガイ・リッチー
脚本:ジョン・オーガスト、ガイ・リッチー
音楽:アラン・メンケン
出演:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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