WONK/向井太一ら40組出演『TEN’S TOKYO』が音楽シーンを担う役割 2周年イベントを見て
テン年代を代表するアーティストたちによるカルチャープロジェクト、TEN’S TOKYOの2周年を祝うイベント『TEN’S TOKYO 2nd Anniversary』が6月7日、代官山UNIT/UNICE/SALOONの3フロアにて開催された。
『TEN’S TOKYO』は、シンガー/DJ/プロデューサー/グラフィティアーティストなど、2010年代を担う多種ジャンルのクリエイターが音楽やアートを通してメッセージを発信するカルチャープロジェクト。カルチャーが交わるシーン全体の“今”と“これから”に焦点を当て、KANDYTOWNやWONKなど今をときめくアーティストにいち早く注目し、パーティの開催やSNSの発信を通してフックアップ。ライブハウスやクラブでの公演を重ねつつ、趣を変えて食事などを楽しみながら音楽を聴ける空間を演出した『TEN’S LOUNGE』や、東京の離島・新島でロケーションと環境を最大限に活かした『TEN’S ISLAND』を開催するなど、様々なシチュエーションで音楽の楽しみ方を届けてきた。またこれまでに、『TEN’S TOKYO』の福岡/長崎公演や、大阪での『WE WANT BEER × TEN'S TOKYO』開催など、東京以外の地方でもリアルなテン年代の空気感を共有し合える瞬間を作ってきている。
『TEN’S TOKYO』の2周年を記念した今回のパーティでは、3フロアを使ってデイタイム~オールナイトで約40組ものアーティストが一堂に会した。長丁場のイベントにもかかわらずオープンからフロアにあれだけ人が集まることは珍しいが、それもそのはず。メインフロアのUNITでライブアクトのトップバッターを務めたのはTEN’Sのイベントにこれまで何度か参加しているWONKだ。Wギターとトランペットを構えた8人編成での演奏は、いつにも増した重厚感と迫力で観客を圧倒し、新曲「Orange Mug」では会場が高揚感に包まれた。続けてTEN’S初登場となる向井太一がオンステージ。軽快なサウンドとメロウな歌声で、一字一句丁寧に歌い上げ自分の世界へとオーディエンスを引き込みつつ、R&BとJ-POPを繋ぐテン年代シーンの重要な架け橋とも言える存在感を示した。
また、TEN’Sに欠かせない女性シンガー・MALIYAはベース、ドラム、キーボードというバンド編成で登場。4月にリリースした全編打ち込みのEP『unswyd』を名手揃いのバンドで再現し、楽曲のクールなテイストを残しつつも、アレンジを効かせ自由度を増した音の中で艶やかでソウルフルな歌声を聴かせ、後半では度肝を抜かれるようなフェイクとロングトーンでオーディエンスの心を鷲掴みにした。その後、神戸発2人組のOpus Innは、楽器と打ち込みの絶妙なバランスで音像のコントラストを演出し、前半戦で熱気高まるフロアをクールダウン。イベントの折り返し地点で、彼らの音楽とともに夜に溶け込んでいくような気分が最高に心地良くさせてくれた。そして、フロアを盛り上げるのはシンガー/バンドだけではない。デイタイムのDJとしてMONJOE(DATS)、Kai Takahashi(LUCKY TAPES)らが登場すると彼らのプレイに合わせてオーディエンスが思い思いに体を揺らし、またYonYonは自身の楽曲で歌唱も披露。ライブイベントとDJイベントの雰囲気どちらも存分に楽しめるこの誰も置いていかないパーティ感こそ『TEN’S TOKYO』の特徴の一つであると改めて感じた。