香取慎吾の創作意欲はまだまだ止まらない 3カ月に及ぶ『NIPPON初個展』終了に寄せて

「完成!」

 香取慎吾は作品が出来上がると、いつも笑顔でそう叫ぶ。昔から絵を描くことが好きだった香取。その作風はまさに「自由」そのもの。無造作に手にとった、アクリル絵の具をそのままチューブから直接キャンバスに乗せていく。かと思えば、雑誌の切り抜きと同じ感覚で内視鏡の画像をコラージュしたり、なかには何年もためておいた髪の毛を使った作品も。キャンバスの存在を知らずに、ダンボールに描いていた時期もあった。スタッフのカンペ用の紙をもらって描いたこともあったという。

『サントリー オールフリーpresents BOUM!BOUM!BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展』

 歌って踊ってしゃべって演じて……小学生のころから国民的アイドルとして走り続けてきた香取にとって、絵を描くということは、汗をかくこと、ベソをかくことと同じくらい、欠かせない新陳代謝のひとつだったのではないだろうか。「完成!」とはすなわち、リフレッシュ完了の合図。そして、また新しいインプット開始への掛け声だ。

 6月16日、IHIステージアラウンド東京にて開催されていた『サントリー オールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM ! 香取慎吾NIPPON初個展』が、ついに幕を閉じた。第1期(3月15日〜4月15日)、第2期(4月17日〜5月20日)、第3期(5月22日〜6月16日)と、3つの期間に分けて少しずつ展示作品を変えて進化を遂げてきた。第3期では、アプリを起動し、スマホをかざして香取の作品を見ると、絵が動き出すAR企画「ブンブンAR」も導入された(参照:「絵が動きだす」世界初の展示会?株式会社MAGIC・株式会社ワンオブゼム ARアプリ「pictPOP」をリリース。香取慎吾さんNIPPON初個展「BOUM ! BOUM ! BOUM ! 」にて採用!)。

 筆者も各期間1回ずつ計3回、会場に足を運び、香取らしい新感覚な個展を存分に楽しませてもらった。第2期の終盤に行ったときには、サプライズで会場に訪れた香取とも遭遇。「今、ついたばかりでマイクもないんですけど!」と息を切らしながら、客席に向かって大きな声で挨拶する姿が忘れられない。香取自身から放たれる、楽しくて仕方ないというエネルギーがまぶしいくらいだった。

 香取が何度も会場に訪れていたのは、NAKAMAへの感謝を伝えるためでもあり、そして個展開催中に少しずつ描き足されていくライブペインティングのためでもあった。いつものようにチューブのままアクリル絵の具を壁にはられた大きなキャンバスに塗り、手で伸ばしていく。ときにはそれを上下逆にしてみるなんてこともあった。

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