小田和正、井上陽水、松任谷由実……70年代に一世風靡し、現在も最前線で活躍するSSWの共通点

令和でも求められる唯一無二の存在

 今の20〜30代のアーティストは、1990年代以降のJ-POPから影響を受けている人が少なくない。そのJ-POPの時代を作った40〜50代は、井上陽水や小田和正、ユーミンらニューミュージックの世代から影響を受けた部分が大なり小なりあるはずだ。では、そのニューミュージックのアーティストは、何から影響を受けていたのか? それはThe BeatlesやThe Rolling Stones以降のProcol Harum、キャロル・キング、Carpenters、ジョニ・ミッチェルといった洋楽のシンガーソングライターやバンドだった。日本人から影響を受けるのではなく、洋楽からダイレクトに影響を受け、それを独自の感性で咀嚼して表現する。教科書もなく独学で試行錯誤したことによって、オリジナリティが育まれた。つまり現在のJ-POPのオリジネイターとも言えるのではないだろうか。

 そんな1970年代を知らない10〜30代のリスナーにとっては、未知である1970年代に触れることが出来るのが、井上陽水や小田和正、ユーミンなどの音楽やライブだ。彼らのすごいところは、今も自身の感性をアップデートしながら作品を作り続け、最前線で活躍しているところ。たいていの60〜70歳代のアーティストは、とうに引退しているか、活動をしていてもリリースペースは遅く、新たなヒットを生むことは難しくなる。流れの早い音楽シーンでは、一時でも気を緩めれば、流行からはあっと言う間に取り残されてしまう。最前線に居続けるためには、インフルエンサーとして何かを発信し続ける努力も必要で、そのモチベーションとなるものが求められる。

 令和という新しい時代を迎え、昭和や平成の時代を懐かしむと同時に、その時代の音楽を再評価する動きもあり、10代や20代のリスナーが今新鮮さを感じている一つとして挙げられるのが、1970年代のニューミュージックだ。J-POPの原点とも呼べる、音楽の独創性と個性的な歌声が、令和の時代も変わらず唯一無二のものとして求められている。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

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