Mega Shinnosukeに聞く、“何でも聴ける時代”のセンスとスタイルの磨き方

Mega Shinnosukeを直撃

「HYUKOHのヒョンジェが“僕の思う一番すごいリードギター”」

――『HONNE』に収録された5曲でいくと「憂鬱なラブソング」と「本音」が一番新しいんですよね。先ほどお話していたように、この2曲は作り方がちょっと違う。

Mega:そうですね。弾き語りベースで作りました。

――なんでそうしようと思ったんですか。

Mega:単純に曲の作り方を変えたら、違う曲ができるなって思ったっていうところが最初で。でも、この2曲も結局違うんですけど。「憂鬱なラブソング」は、andymoriみたいな感じというか。僕、最近andymoriが超好きなんですよ。彼らの2分くらいで終わる曲が多いところもすごく好きで。それで2分で終わる曲を作りたいなって思って作ったんです。「本音」は、Radioheadの「Creep」とか、Oasisの「Don’t Look Back in Anger」とか、昔のUKロックを聴いて。訳詞でも意味はわかりづらいけど、すごく熱かったり切ない曲ってあるじゃないですか。その感じを出そうとしたときに、シューゲイザーくらい歪ませちゃえばいいかも、と思って作りました。

――バンドサウンドはどうやって作り上げていったんですか?

Mega:福岡にいる当時のサポートメンバーとスタジオで合わせて録音しました。最初にギターの人に弾き語り用のギターを送ってもらって、それに対して僕が歌って、それをドラムの人に渡して、最終的にはDAWに落とし込んで作りました。

――結果、こうやって5曲並んでみても、曲調はバラバラだけど、アプローチのやり方がMega Shinnosukeらしさになっていると思うんです。いろんな音楽を聴いて、その感触を自分のフィルターに落とし込んでやっている感じというか。

Mega:将来的にやりたいことのひとつとして、フルアルバムを聴き終わった時にひとつのフェスが終わったくらいの、いろんな景色を観れた感じにできるようなアーティストになりたいというのがあって。僕はまだ深くやってないから、ここから目標は変わっていくと思うんですけど。ただ、単純に僕がずっと同じ曲をやってるバンドが嫌いってのはありますね。自分のやりたいことをやっているスタンスでいないと、その人の生き方が曲に映らないと思うし、単純に自分の像が固まる前に、どれかわからないようにしておこうっていう感じです。

――ちなみに、ここ最近で好きになった音楽、いいなと思った出会いはどういうものがありますか?

Mega:ここ最近だと、HYUKOHがマジで好きですね。世界で一番好きなバンドって公言してます。HYUKOHのリードギターがまさに僕の思う「一番すごいリードギター」なんですよ。難しいことを弾くんじゃなくて、ギターだけで曲調を説明できるっていう。僕の「桃源郷とタクシー」のサビの裏で鳴ってるリードギターもそうなんですけれど。そういう点においてはイム・ヒョンジェのリードギターはマジですごいし、オ・ヒョクの曲作りのセンスも素晴らしいと思うし、何よりファッション性も素晴らしいと思ってて。そういう点で、本当にHYUKOHはすごいと思います。

――音だけじゃなくファッションも格好いい。

Mega:まさに。素晴らしいとしか言いようがないですよね。たまたま最近インスタに公開したHYUKOHの写真があって、オヒョクの着てるものが僕と全く一緒だったんですよ。それを見て「来たな」って思って。ファッション性は大事だと思います。福岡でベースをやってた人にも、「ベースをあと1本買うならその10万や20万で服を買ったほうが絶対にベースが上手くなる」って言ったんです。

 嫌なふうに取られるかもしれないですけど、これって、本当に大事だと思うんですよ。服ってトレンドが移り変わるもので、良し悪しの定義が難しいじゃないですか。でも、表現者にとって一番大事なのって、いい悪いの基準がちゃんとしてるところだと思うんです。そのセンスは、ファッションと音楽とで通じてるところが100%あると思うんですよ。だから、服を買ったほうがいいと言っているし、自分もそうしているんです。

――どの服を選ぶか、どの靴を選ぶかっていうことが、どの音色やリズムを選ぶのかというところと通じ合ってるということですよね。

Mega:それもありますし、まず服に興味ない人って、興味の範疇が狭いと思っていて。オシャレな人で音楽を聴かない人ってほぼいないんですけど、音楽やってるくせに音楽を聴かないヤツはわりといるんですよね。でも、人からどう見られたいかの基準って、結局自分の中にしかないから。だから、服を買ったほうがいいです。そもそもダサいかどうか以前で、物事に興味を持ってるか持ってないかの時点で差がついてますからね。

――ちなみに、HYUKOH以外だと、どのあたりを聴いてます?

Mega:韓国の音楽はめっちゃ聴いてますね。DEANとかADOYとか。あとはSik-KとかZion.Tとか。日本の音楽も聴きます。さっき挙げたandymoriのほかにも、くるりやフジファブリックも聴くし、キリンジもヤバいですね。奇妙礼太郎さんも聴くし、エレカシも好きだし、クリープハイプも好きだし、カネコアヤノさんも最高ですね。特に、尾崎世界観という人を本当にリスペクトしてます。あと昨日はAcid Black Cherryを聴いてましたし、洋楽だとビリー・アイリッシュやMura Masa、Blossomsも好きです。でも、なんだかんだ言って、日本だとキリンジが一番で、「エイリアンズ」は僕の曲にならないかなってずっと思っています(笑)。

(取材・文=柴那典/撮影=堀内彩香)

■MV情報
Mega Shinnosuke「O.W.A.」MV
<スタッフクレジット>
Producer:Mega Shinnosuke
Director/Cinematographer/Edit:マルルーン
Cast(順不同):ぱいぱいでか美、眉村ちあき、フワちゃん、sooogood!、ぼく脳、井上道富、つつみあきひろ、タウンゼント桃子ドーン、Nick(たまたま道で会った)、マルルーン
Starring:Mega Shinnosuke
Special Thanks:ご協力頂いた皆様

■リリース情報
Mega Shinnosuke EP『HONNE』
発売日:6月5日(水)

<収録曲>
1.桃源郷とタクシー
2.O.W.A.
3.憂鬱なラブソング
4.狭い宇宙、広いこの星
5.本音

O.W.A. 各種配信リンクはこちら

■関連リンク
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Mega Shinnosuke オフィシャルInstagram
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