渕上 舞、“旅と私の音楽”をテーマに様々な表情を見せた2ndライブ

渕上 舞、2ndライブレポ

“人生は旅のようなもの” これからも旅を続けたい

 後半戦は、「ここからさらに盛り上がって行きましょう!」と、渕上が声優として出演したアニメ作品のキャラクターソングを2曲披露した。まずはアニメ『暗殺教室』のOPテーマだった「自力本願レボリューション」で、サビの〈起立。礼。ロックオン!〉という歌詞を観客と一緒に叫びながら、起立や礼をする振り付けを楽しんだ。渕上も「男の子のメインキャラクターを初めて演じた、私の中でも大切な作品です」と振り返りながら、一緒に踊ってくれた観客に笑顔で「最高でした。ありがとう」と嬉しさを滲ませた。続いて、アニメ『ガールズ&パンツァー』の主人公=西住みほとして歌った「I Found My Way」では、アグレッシブにステージ場を駆け回りながら、パワフルなボーカルを聴かせた。アッパーなロックサウンドに乗せて、会場からは〈オイ!オイ!〉とかけ声があがる。盛り上がりは最高潮で、彼女も観客の盛り上がりに合わせて一緒に拳を突き上げた。


 渕上は、このライブで披露した全19曲のうち、10曲を自身で作詞を手がけている。彼女の好きな鳥や旅になぞらえた独自の視点は、オリジナリティがあり、メッセージを感じさせてくれる。そんな歌詞に、背中を押されたファンも少なくないだろう。MCでは「だんだん歌詞を書くのが楽しくなっている自分がいる」と、作詞に対する気持ちも明かした。「Journey」を歌う際には、歌詞に込めた気持ちと今の気持ちを重ねて語った。

「大人になると距離や経験という意味での旅はできるけど、子どもの時のような思いを持ったことは出来なくなるし、自分の意見も言いづらくなるものです。私、ズケズケ言うように見られるけど、これでもけっこう気を使ってるんだよ(笑)。誰が言ったか知らないけど、“人生は旅のようなもの”と聞いたことがあります。自分自身をしっかりと持って、これからも旅を続けたい。みんなを笑顔にさせる仕事なので、まずは自分が笑顔にならないとね。私の歌で、みんなが笑顔になってくれる瞬間が、本当にうれしいです」

 アンコールでは「私の中の温かい感謝の気持ちを書いた曲です。みんなに届いたらうれしいな」と、「Good morning!Hello?Good bye.」を歌った。ミディアムテンポのスケールの大きなバラードで、〈オレンジ色の花びら〜見つめちゃうね〉という歌詞の通り、客席にはウルトラオレンジのまばゆい光がゆっくりと揺れた。

 ちょっと小悪魔で、キュートで、たまに驚かされるのもまた魅力で、真っ直ぐな格好良さや素直さもあって、そんな様々な表情を見せてくれたライブ。「Good morning!Hello?Good bye.」の最後に出てくる〈「ありがとう」〉というフレーズを歌った、この日一番の心からの笑顔に胸がキュッと締め付けられた。

(写真=キセキミチコ)

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

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