Eveによる新たなライブ体験 音楽、映像、パフォーマンスが溶け込んだ『おとぎ』ツアー

 アンコールでは「お気に召すまま」で指を天井に掲げながら観客を煽ると、MCでは「夢を見ているような、不思議な感覚です」とこれまでの歩みを振り返り、「またひとつひとつ進んでいきたいと思います」と彼らしい言葉で観客に気持ちを伝えていく。そうして最後に披露されたのは、MVを公開したばかりの新作収録曲「君に世界」。この曲では次第に変化するアニメーション映像の背景色に対応して観客が手に装着したLEDライトの色が変化していくという幻想的な演出を経て、最後は会場いっぱいに銀テープが舞って大団円を迎えた。

4月29日Zepp DiverCity公演(写真=山川哲矢)

 動画カルチャーから登場した多くのアーティストが、過去の活動に区切りをつけるようにシンガーソングライターとして活躍の場を広げているのに対して、Eveは一貫して登場した出自を作品に反映させ、音楽/映像表現の融合を目指してきたアーティストと言える。より豊かさを増した音楽と映像、そしてEveのパフォーマンスと観客の存在など、ありとあらゆる要素がひとつになって生まれた総合芸術/アートのようなこの日のステージは、そんな彼だからこそ辿り着いた圧倒的なライブ体験だったように思う。改めてEveというアーティストの独自性を感じさせてくれるような、素晴らしい一夜だった。

(メイン写真=山川哲矢)

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

■セットリスト
Eve 2019 春Tour『おとぎ』
4月29日(月祝)Zepp DiverCity TOKYO

01. トーキョーゲットー
02. デーモンダンストーキョー
03. あの娘シークレット
04. アウトサイダー
05. やどりぎ
06. 迷い子
07. ホームシック
08. sister
09. 楓
10. fanfare(instrumental)
11. ナンセンス文学
12. ドラマツルギー
13. アンビバレント
14. ラストダンス
15. 僕らまだアンダーグラウンド
<アンコール>
16. お気に召すまま
17. 君に世界

Eveオフィシャルサイト

関連記事