9mm Parabellum Bulletはなぜ15年間輝き続ける? 特別な場所・野音でのフリーライブを見て
とにかく、この日の9mmのパフォーマンスは“気持ちよかった”。野音という開放的な会場も影響していたとは思うが、阿吽の呼吸で決まるユニゾンや、スムーズにノれるスピード感が、歴史を凝縮した鉄壁のセットリストの中で存分に発揮されていたのだ。特に会場との親和性を感じたのは「黒い森の旅人」。木々とビルの間を突き抜ける伸びやかな歌声に身を委ねると、異世界にいるような感覚に陥ることができた。
続くMCで、菅原が今日のライブが過去の野音の模様も含めた映像作品になることを告げる。9mmとファンにとって野音は特別な場所だ。滝の腕の不調があった2016年、そしてリベンジを果たした2018年。15周年という節目のフリーライブがこの場所で行われたことも、意味を感じずにはいられない。その物語の刻み方、そのものが希望にも思えてくる。続いて演奏された「名もなきヒーロー」の〈生きのびて会いましょう〉という言葉が、身に染みて聴こえてきた。
ハンドクラップが祝祭のように響いた「Discommunication」、シンガロングが美しかった「Termination」、そして武田も含めてフロントの4人がピッとセンターに集まったところがカッコよすぎた「新しい光」と、文字通り光の中に連れていくようなエンディング。全11曲、1時間という、長くはないライブだったが、彼らの偉業を噛み締めるには十分だった。打ち上げ花火のようにロックシーンに現れた彼らが、15年もの長きにわたって輝き続けているという事実。それは大げさではなく奇跡的なことだと思う。これからツアーもあるし、アルバムのリリースも控えている。引き続き追いかけたい。
(写真=橋本塁(SOUND SHOOTER))
■高橋美穂
仙台市出身のライター。㈱ロッキング・オンにて、ロッキング・オン・ジャパンやロック・イン・ジャパン・フェスティバルに携わった後、独立。音楽誌、音楽サイトを中心に、ライヴハウス育ちのアンテナを生かしてバンドを追い掛け続けている。一児の母。
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