Poppin'Party、Roselia、RAISE A SUILENはさらなる大舞台へ 『バンドリ!』武道館を振り返る

 メディアミックス作品を通して描かれるバンドをテーマにした物語と、キャラクターボイスを担当する声優陣がバンドを組んで自らライブを行なう“リアルライブ”の革新性の相乗効果で人気を博す『BanG Dream!』シリーズ。日本武道館で2月21日~23日に渡って開催されたリアルライブの最新公演『BanG Dream! 7th☆LIVE』は、2015年の開始以降様々な形で広がりを見せてきたこのシリーズが、ますます大きな舞台へと向かいつつあることを伝えるような3日間だった。

 1月より放送中のアニメ『BanG Dream! 2nd Season』では、第1クールに出演したPoppin'PartyやRoseliaに加えて、Afterglow、Pastel*Palettes、ハロー、ハッピーワールド!の3組や、リアルライブから生まれたRAISE A SUILENといったバンドが集結。Poppin'Partyの物語を中心にした第1クールとは大きく異なり、“バンド同士のかかわり/助け合い”がより印象的に描かれている。そして今回の『BanG Dream! 7th☆LIVE』では、日本武道館を舞台にRoselia(1日目)、RAISE A SUILEN(2日目)、Poppin'Party(3日目)が単独公演を開催。3日間ともに観客が360°ステージを取り囲む回転式のセンターステージを使いつつも、それぞれにまったく異なるバンドの個性を伝える、現在の『BanG Dream!』の多彩さを凝縮するようなライブを繰り広げた。

 1日目に登場したRoseliaは、今井リサ役を中島由貴が、白金燐子役を志崎樺音が担当する新体制になって以降、この5人で最初から最後まで演奏する初の単独ライブとなる。円形ステージ中央の棺からメンバーが登場すると、湊友希那役の相羽あいなが「会いたかったわ、日本武道館!」と告げて、「BRAVE JEWEL」と「R」でライブをスタート。ヘヴィロックやメタルの要素を持つテクニカルで壮大な演奏で、「魂のルフラン」や「残酷な天使のテーゼ」といったカバー曲を含むセットを進めていく。

 この日改めて感じたのは、現在のRoseliaならではの表現力。友希那がリーダーシップをとる作品中の雰囲気同様、Roseliaの演奏は中世ヨーロッパのゴシック的な要素を思わせる表現力豊かなギター、パワフルなドラムといった様々な要素が相羽の歌声を生かすように演奏され、現実世界とは切り離されたダークで耽美な世界観を生む。

 そうした従来の魅力に、中島由貴によるリズミカルなベースと志崎樺音のエレガントな鍵盤が加わることで、今の5人ならではのグルーブが生まれているのが印象的だった。中盤の映像パートでは教会を舞台にした美麗な映像が放映され、各メンバーの囁きが最後に逆再生されると「Sa」「nc」「tu」「a」「ry」という言葉が浮かび上がり「Sanctuary」がスタート。続く「陽だまりロードナイト」で中島がスラップベースを披露し、「軌跡」で相羽が円形ステージ上段で歌声を披露するなど、各メンバーの個性が光る瞬間も多々あった。

 本編最後に披露された最新シングルのリード曲「Safe and Sound」を経て、ラストは「Re:birth day」「熱色スターマイン」「Neo-Aspect」という人気曲を連発。演奏はフレッシュで新しく、同時にこれまでのRoseliaらしさも大切に残しながら、新たな場所に向かっていく今の5人の決意が伝わってきた。

 一方、2日目のRAISE A SUILEN(以下、RAS)は、リアルライブのバックバンドから生まれた経緯を活かし、Afterglow、Pastel*Palettes、ハロー、ハッピーワールド!、Glitter*Greenからゲストを招集。開演前にArgonavisもサプライズ出演するなど、シリーズの広がりを象徴するフェスのようなステージを展開。EDMとロックを掛け合わせてシリーズに新たな音楽性を加えたRASの場合、オリジナル曲とゲストを迎えて演奏される各バンドの楽曲とでは音楽性が大きく変わる。

 しかし、RASの5人は高い演奏力でその両者を横断。まずはオリジナル曲「A DECLARATION OF ×××」と「EXPOSE ‘Burn out!!!’」でレーザーが会場を覆い、ビッグルームハウスやダブステップを飲み込んだロックサウンドで武道館を巨大なレイブ会場に変える。昨年12月の『BanG Dream! 6th☆LIVE』では、メインボーカルを務めるレイヤ役のRaychellに加えてパレオ役を務めるキーボードの倉知玲鳳もボーカルを担当してライブに華やかさを加えていたが、この日はDJチュチュ役の紡木吏佐がRaychellとともにボーカルを担当し、DJブースの卓に足をかけて観客を煽る。Raychellと夏芽がステージ上にどっしりと構え、残りの3人が外に飛び出すバンドとしての佇まいもRASならではだ。

 以降は丸山彩役の前島亜美が登場してPastel*Palettesの楽曲を、弦巻こころ役の伊藤美来が登場してハロー、ハッピーワールド!の楽曲をそれぞれ披露。続く青葉モカ役の三澤紗千香はギターを手にステージに現れ、Afterglowの楽曲でギターとコーラスを担当。それぞれの代表曲に加え、「天下トーイツA to Z☆」や「ハイファイブ∞あどべんちゃっ」「Y.O.L.O!!!!!」といった6バンド同時リリースシングルからも新曲が披露され、アイドル風のキュートな楽曲、オーケストラを加えたチェンバーポップ、パンキッシュなロック曲と、様々なサウンドが広がっていく。

 続いて牛込ゆり役の三森すずこが登場すると、Glitter*Greenのシングル「Don't be afraid!」から2曲を披露。その間もRASのメンバーは演奏を続け、中でもツーバスを駆使した圧巻のドラムソロも披露したマスキング役の夏芽は終始ステージに立ち続けていた。最後は「R・I・O・T」などを経て、もう一度「EXPOSE ‘Burn out!!!’」「A DECLARATION OF ×××」が演奏され、MCではそれぞれが様々な経歴を経て現在に辿り着いたこのバンドならではの思いが溢れ出す。1日目のRoseliaとPoppin'Partyを繋ぐように、『BanG Dream!』シリーズの多様性を伝えるステージだった。

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