kolme×MATZが語る、世界で“普段聞き”されるための楽曲制作「音楽は言語を超える力を持ってる」

 KOUMI、RUUNA、MIMORIの3人からなるガールズユニット・kolme。2014年12月30日に結成され、リーダーのRUUNA、ダンスを得意とするKOUMI、作曲を得意とするMIMORI、3人それぞれの得意分野を活かし楽曲やパフォーマンスをセルフプロデュースする新しいスタイルのガールズユニットとして活動を行っている。

 リアルサウンドでは、kolmeがトラックメイカー/アーティストらと楽曲制作やパフォーマンスについて語り合う対談連載をスタート。第1回目のゲストは、3月1日にリリースされたkolmeのリミックスアルバム『Hello No Buddy Remix』に参加しているMATZ。15歳よりコンピューターを用いて楽曲制作をスタートし、これまでSKY-HIやRuby Prophetといった国内外のアーティストとコラボするほか、10代で『Ultra Japan』にも出演するなど、今後日本のダンスミュージック界を背負う次世代アーティストとして注目を集めている。

 今回の対談では、それぞれが楽曲制作を始めたきっかけから普段の制作プロセス、海外で聴かれるためのアプローチについてなど、デジタルネイティブ世代ならではのトークを繰り広げてもらった。(編集部)

「Hello No Buddy」はとにかく原曲がすごく良いと思った(MATZ)

ーーMATZさんも参加しているkolmeのリミックスアルバム『Hello No Buddy Remix』が先日配信されましたが、実は皆さん今日が初対面なんですね。

MATZ:はい。これまではデータのやり取りだけでした。「Hello No Buddy」、すごい好きなんです。あとアルバムの他の曲だと「The liar」も良かったですね。コード感が気持ちいいし、アレンジもかっこいいです。

3人:ありがとうございます!

MATZ:作詞や作曲から歌とダンスまで、全部自分たちでやっているのがすごく新しいなと思っていました。今日は直接お会いできてとても嬉しいです。

ーーkolmeの皆さんはMATZさんに対してどんな印象をお持ちでしたか?

RUUNA:プロフィール見たときにみんなで「イケメンだね」って話してたんですけど……(笑)。

MATZ:MATZ:プロフィール写真はですね……(笑)。

RUUNA:実物もすごく爽やかでした(笑)。過去の作品もいろいろ聴かせていただいたんですけど、曲ごとに振れ幅が大きくて、こういう音楽を作る方が「Hello No Buddy」をどんなふうにリミックスするのかすごく楽しみでした。

KOUMI:私は2017年のEPの1曲目(『Composite』収録の「The Hybrid」)の、サビ前からサビにかけてグッとテンション上げるのかと思いきや低音に潜っていくような展開がすごく気に入っていて。発想がユニークだなと。

MATZ:ありがたいです。聴き方が完全に「作り手」ですね。

callme / Hello No Buddy -Lyric Video-

ーーMIMORIさんとしては、ご自身が中心になって作った「Hello No Buddy」がMATZさんの手によって形が変わったことについてどんな感想を持ちましたか?

MIMORI:こういう作り方もあるんだなってすごく勉強になりましたね。英語の歌詞とは対照的にちょっと和風な感じがトラックに入っていたり、自分にはない切り口がたくさんありました。衝撃を受けて何回も聴いちゃいましたし、「これは何を使ってこの音にしてるのかな?」とかって自分で研究したりもしましたね。

MATZ:リミックスっていろいろやり方がありますよね。原曲のディテールを残して踊れる感じにするくらいのいじり方もあれば、元の曲を完全にぶち壊して違うものにしちゃう方法もある。僕はどっちも好きなんですけど、「Hello No Buddy」に関してはとにかく原曲がすごく良いと思ったので、その色は残したうえでどうやって自分なりのスパイスを効かせることができるか考えました。

MIMORI:私たちは曲を作るときに「ダンスできるか」という点も重要なポイントなんですけど、MATZさんのリミックスは原曲のテイストを残してもらった分、「これにダンスをはめてみたいな」と思いました。

MATZ:ぜひ踊ってほしいです。ちなみに、曲の方向性はグループとしてどうやって決めてるんですか?

RUUNA:最初にやるのは、各自の最近好きな音楽をそれぞれ挙げていくことですね。メンバーとスタッフさんの間でそれぞれのApple Musicのプレイリストを共有しているのでそれを見れば「今は誰がどういうのを聴いているか」がわかるんですけど、曲作りの際には改めてスタジオに集まって「最近はこんな感じのものを聴いています」というようなことを話し合います。

KOUMI:その中で「こういう雰囲気のものをやりたい」ってアイデアを出すんですけど、「それってちょっと前に海外で同じようなのが出ちゃってるよね」と却下されたり……。

MATZ:そんな厳しいやりとりが行われてるんですか。

RUUNA:そうですね、なかなか厳しいです(笑)。「次くるのはこういうのじゃない?」ってみんなで吟味します。どんなに急いで作ってもリリースするのは数カ月先になっちゃうので、「出したらもう遅かった」というものにならないようにしたいなと。

KOUMI:去年はそれで失敗というか、微妙に遅い感じのものを出さざるを得なかったこともあるので、より慎重にやらないといけないなと思っています。

MIMORI:あとはライブをやっていく中で、ちょっとテンポの速い曲が足りないなと思ったら次の曲でそういうのを作ったりもしますね。やっぱりダンスが前提にあるので、踊りやすいテンポ感が大体限られていて。その中で私たちの振り幅をどう出していくのかは、課題のひとつでもあります。

MATZ:めちゃくちゃ考えてやってますし、自分たちのほしい部分をメンバーの中で作れてしまうのは今っぽいというか、新しいですね。僕もトレンドを意識したり自分たちが持っている曲を分析したりするのはすごく重要だと思うんですけど、一方で何も考えずに自分にとって面白いものを作ることで新しい方向性が見えてきたりもするので、そういう遊び心というか「これやりたい!」っていうシンプルな感情も同時に大事にしていきたいと考えてます。

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