バンドサウンドにバイオリンを融合させるV系バンド AIOLIN 2周年記念ワンマンで見せた決意表明

 後半戦はこれまでの“AIOLINの音楽”を表現したようなセットリストとは打って変わり、“AIOLINが伝えたいもの”に比重を置いたセットリストを展開。ファンへ向けたメッセージでもある「Illumination」の最後には〈君と出会えてよかった〉と素直な気持ちを歌い、さらに「見せてやるよ! 運命にさえ抗うこの姿!!」と叫んだ「Over The Destiny」、そしてこのライブの本編は「こんな間違いだらけの世界で出会ってくれてありがとう」という言葉で始めた「Error World」会場は一体となり幕を閉じた。

 アンコールではピアニストも招き新曲「Someday」を披露。MVからも伝わるように冬の空気の冷たさを感じる優しく切ないバラードだ。続く「Faded」では染み入るような、寄り添うような歌を届けた。何度も深呼吸してから歌い始めたのが印象的だった「Precious」はバンドにとって大切な楽曲であり、ちょうど一年前のワンマンライブで初めて披露された楽曲を一年越しに歌ったということだ。優しく、そして熱い余韻が胸に鳴り響いていた。それでもまだ彼らを呼ぶ声は鳴り止まず、彼らはダブルアンコールに応えてくれた。

 「このO-WESTという場所はあの時の俺たちにとっては本当に無謀な挑戦だった」とヒカリトが口を開く。彼が語った印象的だった言葉。この1年間O-WESTという場所を目標に活動してきた中で「大きな会場で、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい」と強く思えば思うほど、何かをはき違えていたことに気づいたという。大事なのはその時出会えた人たち一人一人に向けて歌を届けることの大切さ。それは裏を返せば自分たちの音楽に絶対の自信があるということでもあり、この時「この音楽でなら、この音楽を信じてくれたメンバーとなら俺たちはきっと天下を取れる」と話したヒカリトは真っ直ぐな眼をしていた。そして、現在のシーンにおける風潮や時代のことも踏まえ、その上で強く自分たちがムーブメントを起こす決意を語った。「いつだってこの場所で一人一人に届くように歌っていく」と叫んだヒカリト。思い思いの言葉を語ったメンバーたち。きっとその先に彼らの描く理想がある。これがAIOLINの“革命”なのだ。

 「もう諦める理由探すのはやめようぜ!」と迸る情熱をぶつけ革命の第一歩として演奏されたのは「Ark Night」。〈そう僕等は今此処で出会えた この奇跡と絆を愛して生きる〉と歌う姿はまるでバンドとファンの絆を確かめ合うようでもあった。そして、この特別な日の最後に演奏された「HOME」では「あなた達一人一人の大切なこの居場所、いつまでも守り続けます」と語りかけ、〈此の歌は君の心目指すから〉と先ほどのMCで伝えたことをしっかり歌でも表現し、AIOLINの決意表明ともとれるライブは幕を閉じた。この日、新たにAIOLINは5月1日に3rdアルバム『Fate』のリリースと、それを引っさげたバンド初となる東名阪ワンマンツアーを告知。彼らの掲げる“革命的ヴァイオリニズム”はまたひとつ歩みを進めることとなる。

 たしかに今はまだAIOLINの革命の火種は小さいかもしれない。しかし、革命を起こす者には確固たる意志が必要であり、彼らにはそれが感じられるのだ。今すぐに何かが大きく変わることはないかもしれないが、シーンにぶつける情熱、そして彼らが真摯に一人一人にAIOLINの音楽を届けることでじわりじわりとこの革命は実を結んでいくのではないかと思う。そして、その革命が実った先にある彼らの理想郷で、“すべてはあの日から始まった”とこの日のことを思い出すのだ。

(取材・文=オザキケイト/写真=池村隆司)

『AIOLIN 2nd ANNIVERSARY ONEMAN LIVE 「ANTITHESE ~AIOLIN過去最大の挑戦 全員の夢を乗せて~」』
2019年2月6日(水)@TSUTAYA O-WEST セットリスト
01. Antithese
02. Distress
03. Remember The Name
04. Vanity
05. Bullet
06. Colors
-Violin Solo- Ysaye Sonata No.3 Ballade
07. Orpheus
08. When I Close My Eyes
09. Tear In The Rain
10. Illumination
11. Over The Destiny
12. Error World
ENCORE
13. Someday
14. Faded
15. Precious
ENCORE 2
16. Ark Night
17. HOME

AIOLIN公式ホームページ

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