関ジャニ∞、Sexy Zone、King & Prince……「ジャニーズ楽曲大賞」に感じた未来への期待

アベレージの高い関ジャニ∞とSexy Zone、健闘したKinKi Kids

 楽曲部門3位はSexy Zone「カラクリだらけのテンダネス」。中島健人と菊池風磨のボーカルテクニックが随所に光る歌謡テイストのナンバーだ。編曲を担当する船山基紀と彼らの組み合わせはデビュー時から続く鉄板の体制。Sexy Zoneは他にも「名脇役」(8位)、「PEACH!」(20位)、「Unreality」(32位)など比較的どの曲も高順位につけており、”楽曲の魅力”がグループの重要な要素となっている。

 同様に、「ここに」(2位)、「All you need is laugh」(9位)、「無責任ヒーロー jam with 東京スカパラダイスオーケストラ」(12位)、「大阪ロマネスク feat. 葉加瀬太郎」(14位)など、どの曲も高い位置につけている関ジャニ∞。両グループに共通するのは、自身もミュージシャンとして活躍する制作陣を迎えることで間口を広げている傾向がある点だ。特に関ジャニ∞は、冠番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で毎回大物ミュージシャンをゲストに迎えてコラボしており、音楽的な側面から彼らを評価できる切り口が多い。

 そんな中、自身による作詞作曲でありながら、90年代デビュー組の中では最も高い位置にランクインしたのがKinKi Kidsの「Topaz Love」(6位)だ。突発性難聴を発症した堂本剛が復帰した後初となるシングルで、“突発”と“topaz”をかけたタイトリングからしても意味深い楽曲となっている。さらに、一人称が“あたし”というジェンター交差歌唱、二人それぞれ別々の歌詞を“同時に”歌う仕掛け(参考:KinKi Kids「Topaz Love」は彼らにしか歌えない歌だ デュエットソングの新境地に溢れる“らしさ”)など、楽曲自体にも工夫が凝らされ、楽曲ファンの多い彼らならではの作り込み様を見せていた。

 大きな変革の予感を感じさせるジャニーズ。今回「ジャニーズ楽曲大賞」から見えてきたものは、ファンが彼らの未来に期待していること、そして作り込まれた楽曲をしっかりと聴き込み、正当に評価していることだ。2019年は、活動休止が発表された嵐やKinKi Kidsのようなベテラン勢の活躍ももちろん、勢いに乗るKing & Prince、そしてジャニーズJr.チャンネルなども生まれたことで今後が期待されるこれからの若手の動向にも注目だ。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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