Nissy(西島隆弘)が魅せる次世代ポップスターの片鱗 パフォーマンスの魅力を改めて考える

誰よりもファン思いなNissy

 そんな彼はアーティストとしての評価が高いだけでなく、ひとりの人間としてもとても愛されている。それは、誰よりも彼が周りを思い、周りを愛しているからだ。「こんなにファン思いなアーティストはいない」、Nissyのファンは口を揃えてそういう。

Nissy(西島隆弘) / 2016年もありがとうございました。【Nissyサンタ】 「まだ君」ピンキーダンス クリスマス ver.

 2016年の終わりには、感謝の言葉を添えた「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」をクリスマスバージョンでお届け。ファンにとって思い出深い1曲となった。なお『Nissy Entertainment 2nd LIVE -FINAL- in TOKYO DOME』でこの曲が披露された際も、季節を無視した(ライブは4月開催だった)クリスマスバージョンで行われ、わざわざ通常でないアレンジを選ぶ姿勢にその思いやりを覗かせた。

 「どこにいてもNissyは近くに来てくれる」これも、ファンから聞いた話のひとつだ。ドームやアリーナなど、広い会場になるとアーティストと観客の距離が遠くなるのは自ずと避けられない。しかし彼は、その距離が1mmでも近くなるように思考錯誤する。席の配列、ステージセッティングにこだわることはもちろん、2階席に近づくためなら気球だって飛ばす。自分がいるのは支えてくれるファンがいるからこそという思想が彼には深く根付いているのだ。

 圧倒的なパフォーマンス力を持ちながらもおごり高ぶることなく、自分自身やファンと向き合い真っすぐに進んできたNissy。その姿はAAAのひとりではなく、立派なエンターテイナーであり表現者だ。ソロキャリア5年を突破し躍進を続けていく彼が日本を代表するポップスターと呼ばれる日は、すぐそこまで来ている。

■坂井 彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。
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